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2010年10月14日 (木)

ウィルヘルム・ケンプ「バッハのゴルドベルク変奏曲」

Kemp まず、冒頭のアリアを聴いてみて下さい。また、昨日と同じようにグールドとの比較になってしまいますが、これが同じ曲かというほどに違って聞こえます。おそらくフレージングとか装飾の付け方とかが違うのでしょうが。でも元々同じ曲だというのが理解できないほどなのです。だから、この演奏の場合には、そもそもグールド比較してどうこうというものでは、ないのかもしれません。で、演奏自体は流麗なレガートを生かして、よく歌うこと!!しかも、楽しげで。リズムはグールドのように鋭角的ではありませんが、推進力はあり、グールドが時に全力疾走で駆け抜けるようなところも、スキップしているような感じです。ちょっと先回りしましたが、アリアは本当にユニークですが(それだけグールドの演奏が刷り込まれているということでしょうか)、第1変奏からは、「何だ、やっぱりゴルドヘルク変奏曲だ」という感じです。ケンプというピアニストの、私にとっての最大の魅力は、左手の伴奏に対して、右手で旋律を浮かび上がらせる際の抜群のバランス感覚なんです。たとえば、シューベルトのピアノソナタの演奏などでは、左手でオーケストラの様々な楽器が多彩な伴奏をしている中で、右手でソプラノ歌手がオーケストラに埋もれず、しかも溶け合うかのような節妙なバランスで聞こえてくるのです。バッハのこの曲でも、基本的には対位法の曲のですが、この人の右手からは、いくつものきれいな旋律、「こんなメロディがあったのか」と思っているうちに消えてしまう、はかなさというのか残らないだけに軽やかでもある。というのがずっと続くのです。スリリングというのとは違いますが。飽きさせない魅力溢れた演奏といえます。ちなみに、ケンプはバッハのオルガン曲などの編曲を入れた録音もありますが、これも大好きです。

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