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2010年10月23日 (土)

アンドラーシュ・シフ「バッハのゴルドベルク変奏曲」

Siff アンドラーシュ・シフの演奏するバッハは流麗で歌うというイメージがありましたが、冒頭のアリアはグールドの新盤よりも早いテンポで弾かれたのは少し意外な感じがしました。基本的には右手の旋律線を浮き上がられる演奏ですが、グールドのように演奏流れに時々タメをつくって、タメては流すというような小規模な停滞と疾走を繰り返して音楽の流れに独特のメリハリと活気を作り出しているのに対して、シフの場合には割合音楽の流れは淡々としていて、サラッと流れるような感じがしました。流麗というのではなくて、なんとなく流されてしまう、悪くすると単なる聞き流しに陥ってしまいそうなところがあります。しかし、よく聴いてみると仕掛けというのか、色々な工夫が散りばめてあるようで、知的な楽しみを与えてくれるところもあるようです。たとえば、アリアの繰り返しは各ピアニストも各々工夫するところですが、シフは装飾を色々といじっているようです。ただし、グールドのようにチェンバロ的な響きに近づける要素として装飾を使うのではなくて、繰り返しのバリエーションとしてという性格のものだと思います。シフの装飾はピアノの響きを生かしたものとなっていて、ロマン派の変奏曲のようにも聞こえます。そのせいか、私には、少しうるさく感じられるところもないわけではありません。また、低音の対旋律の所々で意識的にアクセントを強調して、他のピアニストとは違うフレージングをしているように聞こえ、シフの演奏でしか聞こえてこないようなメロディが聞こえてくるケースもあり、こういうところは知的な面白さというのか、一種の遊びの楽しさがあります。ただし、この人はリズムが平坦というのか、色々とテンポを変えたりして工夫を凝らしているようなのですが、全体の流れが単調になりがちで、活気がないというのか、生き生きとした推進力のようなものが薄いので、スタティックな感は否めないで、時折、リズムに装飾的な工夫をしていると躍動感を伴わないためか、もたつくというのか、帳尻合わせをしているような感じになるのが、残念なところです。

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