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2010年10月11日 (月)

グレン・グールド「バッハのゴルドベルク変奏曲」

732 このところ、「ストーリーとしての競争戦略」が長くなってしまって、久しぶりの音楽のように思います。今回は、問答無用の名盤です。旧盤と新盤、あるいはザルツブルク音楽祭でのライブ録音か、グレン・グールドのファンでの好みは分かれると思いますが、私は新盤です。内容の細かなことは日本盤では諸井誠の本当にマニアックな解説がついているので、こちらを読むことをお奨めです。(これだけでも十分に買う意義があります。言うまでもなく)変奏を3つずつグループ化しただの各変奏の意図だのは、そちらを読んでほしいです。チェンバロのような感じを出させるために、レガート奏法の使用を抑え、スタカートを多用した響きの軽さと、音色の変化をもたせず、かわりに装飾をつける、などの特徴は色々なところで、語られ尽くされている観もあります。

この曲は、最初のアリアに対して30の変奏と最後にアリアをもう一度やって終わりというように、同じテーマを32回繰り返すという内容です。ただし、私の好みとしては、このテーマであるアリアはそんないいメロディとは思えないので、アリアには、あまり魅力を感じてはいません。また、変奏曲といってもテーマがどのように手を加えられているかはよく分りません。なので、32の小品の集まりのような聴き方をしています。まず、アリアをグールドは弱音で非常にゆっくりと演奏していて、しかし、レガートでメロディを歌わせるというのではなくて、たんにゆっくり弾くだけなので、私には退屈で、しかも、繰り返しをするものだから、なおさらでした。(ただし、ファンの中にはグールドの思い入れが感じられるとか、いいメロディとかというように好きな人もいるので、好みの問題ですね)それが、第一変奏に間を置かず、バーンと大きな音で入り、しかもテンポがそれまでと違い、一転速くなる、このときの一瞬の変化がドラマチックです。この第一変奏の入りが私は大好きで、そうなると退屈なアリアが第一変奏がくるのを勿体ぶっていて、期待感を高められるようになります。しかも、弱音に耳を澄まして聴いていて、その後の第一変奏のバーンの衝撃がなおさら衝撃的になるのです。グールドという人は途中でテンポを揺らすようなことはしない人で、バッハのようなメロディに歌う要素が少なく、シンプルなものには単調に映るきらいがあります。しかし、この曲では変奏のたびにテンポが転換するのは、場面が変わるような楽しさで、とくにアップテンポの変奏のときの前のめりのような生き生きとしたビート感覚のような畳み掛けるリズムに翻弄されるのが楽しいです。

そのときその時の変奏の変化に身を任せて、ノリノリで聴いていて、スローなテンポのときの、次の変奏を我慢して待っているときの期待感というようにメリハリが、この新盤の魅力と、個人的には思っています。

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