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2010年10月17日 (日)

ピーター・ゼルキン「バッハのゴルドベルク変奏曲」

Peter グレン・グールドの演奏を一言でいうと、バッハの曲の構造が透けて見えるように、ピアノの音色やタッチの多彩さを抑えて、チェンバロを模したスタカートと強弱を駆使して、いうならば黒白のモノクロームのように世界を作り上げていると言えます。これと比較してみると、ピーター・ゼルキンの演奏の特徴がよく分かります。一言でいうと、グールドが白と黒のはっきりした対比の世界であるのに対して、彼は白と黒の中間のグレーの濃淡のグラディエーションの世界と言えます。

例えば、冒頭のアリアの演奏。彼は、演奏の途中で時々に右手と左手のバランスを変えてみせます。グールドの演奏では対等に対位法的な二声の線がはっきりと聞こえてきますが、ゼルキンは対位法の構造が崩れない範囲内で、時々に右手あるいは左手の旋律が時々にスポットライトを当てられるかのように際立たせられて、こんないいメロディがあったのか、というような美しい音楽との出会いが幾度も体験できます。このような特徴は、とくにゆっくりとしたテンポの変奏部分ではグールドの演奏にない顕著な魅力があります。

また、何度もここか、というくらい執拗に見えるかもしれませんが、アリアから第一へ移るときにグールドのような鮮やかな転換はありませんが、陰影の豊かさが演奏に奥行きを与えています。そのため、グールドの世界が外に向かって広がりを感じさせてくるのに対して、逆の方向で惹き込まれるような深みを感じさせられるのです。

同じCDで、一緒に録音されているイタリア協奏曲の第2楽章の惹き込まれるような印象も特徴的です。

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