無料ブログはココログ

« 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(6) | トップページ | 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(7) »

2010年11月 4日 (木)

あるIR担当者の雑感(6)~パワーポイントへの懐疑

第2四半期の決算発表もヤマ場を迎え、各社の発表が盛んです。私の勤め先でも決算発表に向けて最後の追い込みで、経理課は殺気立った雰囲気でピリピリしています。で、IRイベントとしては、決算発表と同時か少し後に決算説明会を開いて、投資家やアナリスト、マスコミ関係の方々に、社長が業績と今後の展望を説明します。私の方でも、その資料づくりが段々と切羽詰ってきました。ま、一応、プレゼンテーション資料として、パワーポイントを使って説明スライド兼配布資料を作っています。

で、私の個人的な感想かもしれないのですが、このパワーポイントというアプリケーションは使いにくい、というのか、なんとも中途半端に感じられて仕方がないのです。IRにかぎらず、社内外に向けてブレゼンテーションする場合には、殆んどの場合はパワーポイントを使って行われると思います。皆さんは、どう思っているのでしょうか。私は、プレゼンテーションを受けて、たまたまかもしれませんが、何かそんな気になるというのか雰囲気としてどうだという曖昧なところで説明を聞き流してしまい、何となく分かったような気になることはあります。しかし、説明がきちんと理解できたということはないのです。あとから、配られた説明資料を読み直しても具体的な説明は書かれておらず、もっともらしい文句や麗々しい数字が根拠も明らかにされず飾られているだけなのです。

一方、資料を作る側としては、まず、アプリケーションの動きが重い。文章を入れにくい、計算がするのがやりにくい。とか、内容を考え、ああでもないこうでもないと文章を考えたり、計算をして検証を繰り返しながら、資料を作り込んでいくには意地悪というくらい使いにくい。それで、仕方なくワードやエクセルで原稿をつくり、パワーポイントに貼り付けていくというような二度手間になってしまう。そんなことを感じたことがありませんか。

とくに、IRの場合には、企業の内容をきちんと理解してもらうというのが、第一目的なので、説明資料には誤解を招いたり、言葉足らずのようなことにならないように、比較的多くの情報を盛り込みたいと思っているのが、パワーポイントの画面では、収まりきれないことが多い。巷のプレゼンテーションの手引書や慣れた人のアドバイス等からでは、文章は長くしないとか、画面をすっきりさせるとか、写真やイラスト、グラフなどを多用して分かり易くというのが常識となっているようです。しかし、例えば、具体的な数値がはっきりと明示されていないところで、グラフによって変化を一目瞭然にするなどとは考えられないと思うのです。グラフだけでは、具体的数値が曖昧になる、それは、例えば投資のために分析する場合には、たいへん不都合なはずです。そうすると、数値の列記とグラフを両方画面に載せる。そうすると、パワーポイントの画面に収まらない。

また、数値を出すだけなら決算短信などの資料を読んでもらえば足りるので、わざわざ説明会に足を運んで説明を受けるというのは、数値の背後にある情報、例えば、今期の業績が伸びた、あるいは落ちた原因とか、今期はどういう経営をやってきたのかということや、この結果について経営者はどう評価しているのかとか、今後の展望についてどう思っているのかとか、その理由はどうなのか、などというような数値には出てこない情報を求めているはずだと思います。それを一言、あるいは短い文章で簡潔にできるのでしょうか。たぶん、各企業のIR担当者は達人が揃っているのでしょうか。私には、正確に伝えようとすると、どうしても文章が長くなってしまいます。資料は簡潔にして、あとは説明者が口頭で説明する。というのがプレゼンテーションの常識らしいのですが、そんなに簡単でない情報だからこそ、資料を使って説明するのではないでしょうか。企業のことをある程度以上理解している人は別として、上で列記したようなことを、初めて出席した人が社長の話す説明を聞いて、理解して、おおよそ記憶して、後で投資の検討の際に参考にするなんていうことが果たして、できるのでしようか。実際のところは、メモをとるのが精一杯で、おそらくメモも追いつかない場合もあるのではないか、と思うのです。

実際に、説明会に出席したある人は、資料に詳しく説明がかかれていると、メモにとらわれずに、社長の話をきくことだけに集中できると言っていました。話を聞くのに集中するというのは、単に話の内容を聞き取るだけでなく、その時の社長の表情や話し方の調子というような、ライブでしか感じられない微妙なニュアンスも感じ取るということも含まれるそうです。

そうなると、パワーポイントで作成した資料は一枚当りの情報量が限定され、ある程度の情報を入れようとすると枚数が多くなって嵩張るという欠点も出てきてしまいます。そう思って、今回はワードを使って文章を大幅に増やした冊子形式の資料を試しに作って、スタンダードなパワーポイントの資料と比較検討してみようとしています。

« 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(6) | トップページ | 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(7) »

あるIR担当者の雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あるIR担当者の雑感(6)~パワーポイントへの懐疑:

« 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(6) | トップページ | 松宮秀治「芸術崇拝の思想」(7) »