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2010年11月19日 (金)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙2008」(6)

製造、サービスと小売事業

バークシャーのこの分野の活動は、ウォーターフロント一帯をカバーしています。しかし、全グループのためにおおまかな貸借対照表と損益計算書をお見せしましょう。

アイス・キャンディーから移動式住宅にまでわたり商品を販売する様々なグループはは、昨年は、平均した有形正味資産の17.9%の利益をあげました。また、これらの事業が財政的なレバレッジ手法をほとんど用いることなく、この成果を達成したのも、注目に値します。明らかに、我々はいくつかの素晴らしい事業を所有しています。我々は、それらの多くを大きなプレミアムを乗せて自己資金により取得しました。我々の貸借対照表で示されるのれんで反映される点、そして、その事実は当社の帳簿価格の平均8.1%相当の収益が減少することになります。

通年での結果は満足のいくものでした。しかし、このグループの企業の第4四半期の収益は伸びませんでした。2009年の見通しは悪化することが予想されます。それでも、グループは今日の状況の下でも強い収益力を保持して、多くの現金を親会社に届けています。全体的に、これらの会社は昨年には競争の勝利をおさめました。それは部分的には、我々の財務的な強さが有利な立場を獲得させたことにもよるものです。対照的に、他の多くの競争者は立ち泳ぎのようなアップアップ状態(か、溺れてしまう状態)にありました。

これらの企業の取得のうちでもっとも注目すべきものは、11月下旬にタンガロイ社を買収したイスカル社、日本の小さな工具の製作会社、を買収したことです。チャーリーと私は驚きと感謝で見続けています、イスカル社による管理の達成を。我々が会社を買収することによりエイタン・ウェルトハイマー、ヤコブ・ハルパスやダニー・ゴールドマンらようなマネージャーを確保できることは、天の恵みです。この3人を得ることは三冠を獲得するようなものです。我々が取得してから、イスカル社は我々の予想を超えて成長しました。そして、タンガロイ社を新たに加えたことは、パフォーマンスを次のレベルに押し上げました。

ミテック社、ベンジャミン・ムーア、アクメ・ブリック社、フォレスト・リバー社、MARMON社、CTB社は昨年、ひとつまたは複数の獲得をしました。CTB社は、世界中に農業施設を提供していますが、2002年に我々が買収して以来、6つの小さな企業を傘下にしました。その買収の際、我々はこの会社に1億4千万ドル使いました。そして、昨年の税引前利益は8900万ドルでした。CEOのヴィク・マンチネンリは、我々が買収する前に、すでにバークシャーのような経営原則に従っていました。かれは、守りを固め、目の前の物事に集中して取り組みます、それは日々の小さな物事を正しく行うことで、けっして誤って進むようなことにはなりません。今から10年したら、ヴィクは、もっと大きな、もっと重要な事業に取り組み、投下資本に対してもっと大きな利益を得るようになるでしょう。

ファイナンスと金融商品

私は、ここで、クレイトンホームの住宅債権に関して長々と書くつもりです、その代わり、ファイナンスの解説はここでは飛ばして、この章の終わりでまとめて書きたいと思います。クレイトンでの最近経験は住宅と抵当の問題に関して公共的な政策論争の役に立つかもしれないので、ここで少しお話しします。まず、背景から。

クレイトン社は、プレハブ住宅産業で最も規模の大きな会社です。昨年の販売量は27,499ユニットで、これは総販売量81,889の34%に当たります。我々のシェアは、業界の我々以外の企業の多くが急に窮迫しているため、2009年は相対的に伸びるでしょう。業界全体でユニットの販売量は1998年に372,843のピークを達成して以来着実に落ちてきています。

当時、業界の多くが残虐とも言える販売方法を用いていました。私は、後で、このことについて「貸してはいけない貸し手によって融資をうけるべきではなかった借り手」と書きました。

まず第一に、重要な頭金の必要性はしばしば無視されました。時々、ごまかしもありました。(「私には、それが確かに2000ドルの猫に見える」と言ったセールスマンは、ローンを使い切ることによる3000ドルのコミッションを受け取りました。)その上、毎月の支払が不可能な返済額を、失うものがないから申し込みをした借り手も合意しました。結果として住宅ローンは、ウォール街の企業によってパッケージ化(証券化)されて疑いを持たない投資家に販売されました。この連鎖は愚かで、酷い結果を招くに違いなく、事実起きてしまいました。

クレイトン社は、その時、独自の融資方法によりはるかに賢明な選択をしました。これはいくら強調しても足りません。確かに、証券化した住宅ローンの購入者はその起源を失い、元本と利息を10セント硬貨にいたるまで失うこととなりました。しかし、クレイトン社は例外でした。業界全体の損失は驚異的でしたが。そして、二日酔いのように後遺症は続いています。

2008年のは、これで終わりです。

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