ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2009(7)
ファイナンスと金融商品
この分野での我々の最大の活動はクレイトン・ホームズです。モジュラーによる工場の田舎風の家屋生産のリーディング・カンパニーです。クレイトンは、いつもナンバー・ワンであったわけではありません。10年前の主要なメーカーはフリートウッド、チャンピオンそしてオークウッドの3社で、合わせて全体の生産の44%を占めていました。その後、どれもが破産してしまいました。一方、この産業全体の生産量は2009年には60,000ユニットとなり、1999年の382,000ユニットから落ち込みました。
この産業は2つの原因により錯乱状態にあります。米国経済が回復すれば、そのひとつ目は、我慢しなければなりません。この理由は米国の住宅着工(アパート・ユニットを含む)に関係があります。2009年のスタートは554,000で、我々がデータを持っている50年間で最も低い数字でした。逆に、これは我々にとって良い知らせです。
人々は、ここ数年、供給側による年間200万の住宅着工のニュースが広まると、良いニュースであると考えました。しかし、需要の側から見た家屋の建設は、たった120万に達しただけでした。このような不均衡が何年も続いた後で、田舎はあまりに多くの家を残したまま終わってしまいました。
この突出を直す方法は3つありました。(1)「cash-for-clunkers」プログラムで現われた自動車の破壊と同様のことを多くの家屋に対して行う。(2)または、たとえば、ティーン・エイジャーが同棲するように奨励することによって世帯がつくられる速度を速くする(3)新設住宅着工件数を世帯形成のレートよりはるか下のレベルに抑える。
我が国は、賢明にも第3の方法を選択しました。これは1年かそこらでプレハブ住宅の問題を主に対策として意味しています。その例外は、需要以上に家を建てるのが最もひどかった地域における高級住宅です。もちろん、価格は“バブル”のレベルのはるか下に留まるでしょう。しかし、これによって傷つく売り手(貸し手)がいるために利益を得る人々もいるのです。本当に“バブル”がはじけたため、数年前なら適当な家を買うことのできなかった多くの家族が、今なら、彼らの手の届く範囲内で手ごろな家を見つけることができるのです。
プレハブ住宅の抱える第2の問題は、この産業に特有の゜ものです。それは、工場で製作された家と基準に従って建てられた家の間のローンの利率の懲罰的な差です。皆さんがさらに読み進めていく前に、明らかなことを強調します。この点についてバークシャーには利害関係があります。従って、皆様も特別な注意を以って、続く記述を評価していかなければなりません。しかしながら、この警告を発したことにより、多くの低収入のアメリカ人とクレイトンの双方に異なるレートが何故問題を引き起こすかについて、我々は説明しなければなりません。
住宅の抵当市場は、FHAやフレディ・マック、ファニーメイによって表わされる政府規則に従って形作られています。彼らが保証する抵当を大体の場合に証券化して、事実上、米国政府の義務に転化したため、彼らの貸し出し基準は全能となっています。現在、これらの保証の資格を得る従来の基準で立てられた家の買い手は、年利51.4%ほどで30年ローンを組むことができます。その上、これらは、連邦制度準備理事会がバーゲン会場のレベルにレートを抑えている状態で、大量に購入された抵当です。
対照的に、ほんのわずかな工場によって組み立てられた住宅しか、政府機関契約者抵当の資格を得ることができません。それゆえに、プレハブ住宅の買い手は9%のローンを上乗せして支払わなければなりません。すべて現金で購入する人に対してクレイトンは素晴らしい価値を提供します。しかし、買い手が不動産ローンを必要とするならば、もちろん、ほとんどの買い手は必要とするでしょうが、金融コストの違いは、ほとんどの場合、プレハブ住宅の魅力的な価値を無効にしてしまいます。
昨年、私は、我々の買い手、一般的に低収入の人々、が信用リスクに見合うパフォーマンスを示している理由をお話しました。彼らの次のよう態度は極めて重要です。彼らは、転売や借り換えではなく、その家に住みつづけることにサインしました。したがって、我々の買い手は確認された収入(我々は“うそつきローン”を作っていません)に見合う支払となるローンを設定し、抵当を償却することを楽しみにしていました。彼らが、仕事を失ったり健康を害したり、離婚したりした場合には、我々はデフォルトを想定しなければなりません。しかし、単に住宅価格が落ち込んだだけでは、彼らは逃げ出すことをしませんでした。今日でさえ、失業問題は深刻化しましたが、クレイトンの債務不履行とデフォルト(のリスク)は妥当な範囲内であり、重要な問題となってはいません。
我々は、サイトで組み立てた製品で利用することができる可能なローンの特典を我々の顧客にも適用できるようにしようとしました。これまでは、それは形だけの成功に過ぎませんでした。単にプレハブ住宅に付される融資格差のよって毎月の返済額があまりに高額になってしまったので、多くの家族は普通程度の収入がありながら、常にないような収入でもない限り、持ち家を断念せざるをえませんでした。このような(プレハブ住宅への)適用範囲の拡大が為されないのなら、頭金や収入の標準を満たす場合にしか低コストの融資の道が開かれないため、プレハブ産業は奮闘しつつも、次第に痩せ細っていく運命にあるように思われます。
この様な状況の下でさえ、私は、潜在的な可能性を大きく上回ることはないでしょぅが、クレイトンがこれからも収益をあげていくと信じています。我々は、オーナーの立場でバークシャーの利益に向かうCEOケビン・クレイトン以上の経営者を持つことはできないでしょう。我々の製品は、最高級で、低価格で、しかも常に改善されています。さらに、我々の財政状態が健全さを保っているので、バーシャーの信用でもってクレイトンの抵当プログラムをサポートし続けます。たとえそうだとしても、バークシャーは政府機関による利用可能な利率で融資を受けることができません。このようなハンディキャップは、クレイトンと安く家を購入したいと切望している多くの家族にはショックで、販売を規制してしまうものです。
以下のテーブルでは、クレイトンの収入は、クレジットの使用のためのバークシャーの支払の総額です。クレイトンへのこの費用を相殺するのは、バークシャーの財務政策への信用付与と、雑収入を含む収入の総額です。コストと収入は、およそで、2008年は92百万ドルで2009年は116百万ドルでした。
このテーブルは、また、我々の家具(コート)やトレーラー(XTRA)のリース事業が不況によって、どれだけ厳しい打撃を受けたかを例証しています。これらの競争力は、これまでと同じ程度に強いままでありますが、我々は、これらの事業で少しの弾みも確認できていません。
2009年の終わりに、我々は、我が国の商業抵当の第3位であるBerkadia Commercial Mortgage(以前はCapmarkとして知られていた)の株式を50%取得しました。2350億ドルのボートフォリオにサービスを提供することに加えて、同社は抵当の重要な発信社で、国内に25のオフィスを展開しています。商業用不動産はこの数年間で重要な問題に直面するでしょうが、長期的な視野に立った場合Berkadiaは重要です。
この事業における我々のパートナーはジョン・スタインバーグとイアン・カミングを通したLeucadia、です。数年前にバークシャーがトラブルを悩ましい金融事業Finovaを購入するために、彼らと一緒になったとき、我々は素晴らしい経験をしまた。その状況を決議する際に、ジョーとイアンは彼らに割り当てられた仕事(私が常に奨励するアレンジメント)以上の働きをしてくれました。彼らが、Capmark購入のパートナーとして、私に電話をしてきたときは、もちろん、うれしかったです。
我々の最初のベンチャーはBerkadiaによって洗礼を施されました。それゆえ、これをBerkadiaの息子を呼びましょう。いつの日か、私は、皆さんにBerkadiaの孫のことをご報告できるようになるでしょう。
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