ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2009(3)
それでは、バークシャーの活動の詳細に移りましょう。我々には、4つの主要な事業部門があり、それぞれに貸借対照表や損益計算書は個別に作成しています。ひれゆえ、標準的な財務諸表のようにそれらを一緒くたにまとめてしまうことは、かえって分析の妨げとなってしまいます。それで、チャーリーや私がいつも見ているように、これら4つを切り離された事業体として、説明していくことにします。
我々の資産障害(P/C)保険事業はバークシャー成長のエンジンであり、今後のそうであり続ける事業です。この事業は、我々にすばらしく貢献してくれました。我々は、“のれん”勘定を計上したことにより、P/C会社に帳簿価格で155億ドルの正味固定資産を増やしています。しかしながら、これらの会社は、帳簿上の価値よりも、もっと高い価値があります。P/C事業の経済モデルにその理由があり、それをこれから説明していきましょう。
保険会社は前払した保険料と失業保険支払要求を後で受け取ります。ある労災補償事故のような極端な場合には、何十年にもわたり支払が延びてしまうことがあります。この先方払い、後払いのモデルは、我々が“フロート”と呼ぶ多額の現金は、結局別のものになってしまいます。一方、我々は、バークシャーの利益のためにこのフロートを投資にまわすことができるのです。個々の方針や主張が行ったり来たりすることがありますが、フロートが生み出す保険料の総額は安定的に維持されています。従って、フロートの額が増えるにつれて、我々の事業も成長して行きます。
保険料が経費と最終的な損失の合計を上回った場合には、我々はフロートが生み出した引受業務利益を計上します。この組み合わせにより、我々に自由に運用を行う余裕を許されます。そして、そらに、その保持による報酬を受け取るのです。このような有利な結果を生み出す可能性ゆえに、激しい競争があります。それは、多くの年度でP/C事業が全体として重要な引受業務損失を計上することになるほど激しいものです。この損失は、実質的に、この事業がフロートを有するために支払われるものです。通常の場合、このコストはかなり低く抑えられていますが、大災害の起きた年の保険の損失を引き受けることによるコストは、フロートの運用から得られる収益以上のものとなります。
私の個人的な意見では、バークシャーは世界で最良の保険事業を行っていると思います。そして、我々には最高の経営者がいると断言できます。我々のフロートは、我々が事業に参入した1967年の1600万ドルから、2009年末には620億ドルまで成長しました。さらに、我々は今まで7年間連続で引受業務で利益を上げつづけています。私は、将来にわたって、すべて確実ではないでしょうが、ほとんど大部分において、引受業務で利益を上げ続けるであることを確信しています。我々が支払いのことを考えずに自身の利益のために投資を行うことができるかぎり、我々がそれを行えば、我々のフロートは(実質的に)コストフリーです。
全体としてP/C事業にとってコストフリーがつねに期待された結果でないことは、もう一度強調させていただきたい。大部分の年度では、保険料だけでは請求や経費を十分にまかないきれません。したがって、事業全体の株主資本利益率は何十年もの間、SP500による達成されたものを下回っています。尋常でないビジネスを行っている数人のきわめて優秀な経営者がいるから、バークシャーには顕著な経済学が存在します。我々の保険CEOは皆さんに多大な貢献をしています、バークシャーに何億ドルもの価値をもたらしたのですから。私にとって、これらのオールスター選手たちのことを皆さんにお話するのは、喜びなのです。
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