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2010年12月17日 (金)

あるIR担当者の雑感(9)~説明会資料に解説をつける

野村IRからアンケートが送られてきたので答えてみました。ま、アンケートはアンケートで択一式なのでサクっと答えたわけです。そこで、少し気になったのが、アンケートという、そして、択一式回答という形式です。どうしても、こういうものには質問する人のバイアスが多かれ少なかれかかっているものです。バイアスの程度が激しければ、誘導尋問と変わらないものにもなってしまうこともあるでしょう。(それゆえ、私は報道機関がよくやっている世論調査というのは信用できないと思っています)で、今回のアンケートの質問とその回答の選択肢を見ていると、このアンケートを作ったひとにはIRはこうあらねばならない、とかこれがIRのスタンダードたというイメージがあるのが想像できるのです。アンケートをやっている野村IRという会社が方針としてIRはこのようにしていきたいという明確なものを持っていれば別ですが、どうもそうではないようです。

このブログのこの一連の記事を読んでいただいている方には想像がつくかもしれませんが、私の勤め先の企業は中小メーカーで新興市場に上場しているため、東証一部上場の有名企業と同じようなIRはできないし、やっても注目されないので、企業に応じたIRがあると思っています。例えば、あえて個人向け説明会を開催しないというようなことがあってもいいと思います。それは、個人投資家を軽視するということではなくて、会社の性格が大きな会場に会社のことをよく分からない個人を集めて30分程度のプレゼンをするよりも、ひとりひとりの個人と時間をかけて突っ込んだコミュニケーションをすることでファンを一人ずつ増やしていく方が適しているケースもあると思うのです。そういうのは、このアンケートからは抜け落ちてしまっているのです。

例えば、最近有名企業の中で、決算説明会を開催した後で、ホームページに資料や動画を掲載する以外に資料の解説を載せるところが出てきました。以前にも書いたことがありましたが、パワーポイントで作成する説明資料は、せいぜいのところ見出しを載せるには適しているのですが、説明を載せるには不便なソフトです。それだけではないでしょうか、パワーポイントで作られる資料は内容がないので、ただこれを見てもよく分からないというのが本当のところだと思います。それで、資料に解説をつけて資料を見る人の便宜を図るというのでしょう。それ自体は悪いことではないです。しかし、それならば、わざわざ解説が必要になるように資料をなぜ作らなければならないのか、そんな中途半端な資料を分かっていて(後で解説をつけるような補足をしているわけですから)配って、投資家を馬鹿にしているのではないかと言われてもしかたのないことではないかと思います。それをアンケートの文脈で見てみると、資料の解説を載せていることを聞くのは、どうしても、それはいいことと受け取られているように見えるのです。もしかしたら、私は穿った見方をしているのかもしれません。アンケートと同じに、それ以上にバイアスがかかっている。しかし、解説が必要のない充実した資料を作ろうとしている企業と中途半端に資料を配布して後で解説を補足的に追加する企業とを同列に論ずることはできないのではないか。しかも、解説を追加する企業のほうがより努力しているとかような価値判断ができるのか、と言う点にすごく不信感を持ちました。

さらに、そういう解説を載せている企業は、それはそれでいいのですが、それを見て、IRとはこういうもので当社もやらなければならないと誤解してしまう企業がでてきて、これがIRのトレンドだというようなことになってしまうのではないかと、とても心配になっています。

ちなみに、私の勤め先の企業は資料の解説は作っていません。

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