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2011年1月 8日 (土)

西田宗千佳「世界で勝てるデジタル家電~メイドインジャパンとiPad、どこが違う?」(3)

第3章「プラットフォーム」で家電は変わる

現在のデジタル家電の動作はプラットフォームという基盤によって動いています。このような構造はゲーム機から生まれたと筆者は言います。その理由として、一つはゲーム機はコンピュータであること、二つ目はソフトで大きく価値が変わるということ、三つ目は、iPhoniPodにつながる共通項として、圧倒的な量産が前提の商品であること、の三つです。このコンピュータと量産、そしてその特性を生かしたビジネスモデル構築と言う点で、その後の家電に与えた影響は大きい。ゲーム機自体は高い製品でなく、ゲームそのもので価値を演出する必要がある。そこで重要なのは価格で、任天堂は、他社が簡単に追いつけないように性能面で差別化を図りつつ、低価格な製品を作れるよう技術開発を行った。そこでポイントとなったのはカスタムLSIです。この製造を担当したのはリコーで、任天堂はリコーに対して、かなりまとまった台数を一括購入することによりコストを下げた。さらに、任天堂は、量産を前提とするだけでなく、同じ製品を長期間販売する戦略を取った。これにより、1台あたり生産コストをさらに下げることができる。この間技術が進歩しても、同じゲームソフトを動かすために敢えて性能を上げずに、開発リソースを低コスト化に絞ることで、さらにコストを下げる。

以下、著者は携帯電話やテレビの世界でプラットフォームがどのように機能しているかを詳細に分析します。

家電においてデジタル技術の比率が低かった時代には、パーツそのものの性能が上がらないとコストも性能も上がらず、よい家電はできなかった。だが、デジタル技術の重要性が増すにつれてプラットフォームに左右されるようになった。LSIは他社から購入できる。機能の不足や改善はソフトの改良によって行うことができるというように、モノ作りの形は、以前とは変わってきているのだ。ここでアップルは、グラフィックや操作性といったプラットフォームの余力が商品の価値を決めることにいち早く気がつき、それを最初から量産し、複数の製品で使いまわすということでコストを下げるという戦略を取ったのだ。このように家電メーカーにとっては、自社製品を作るためのプラットフォーム戦略は「命」といえる。アップルがプラットフォーム戦略を重視するのも、そのためだ。

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