「企業戦略白書Ⅸ 日本企業の戦略分析2009」
ほぼ毎年、楽しみに読んでいるものです。白書といっても官公庁が出しているわけではなく、一橋大学MBA大学院が作成しているもので、昨年はメインの執筆者(多分、担当教授)が代わり、内容に変化の兆しがあったので心配していたのですが、今年のを読んでみると、その心配は杞憂でした。戦略論とか、分析とかいう著作は多いのですが、具体的なケースをボリューム感を感じさせて、読ませてくれるものは、極めて少ない。以前に紹介した、ハーバードのテキストのような会社の紹介に毛の生えた程度なら、買ってしまったことを後悔するのみですが、こちらは、実際に戦略分析は、このようにやるのか、というお手本というのか、読みながら、自分で経験する作業を追体験できる、という読み方ができます。私の場合は、IR担当という仕事柄、会社の事業展開について外部にどのように説明するかということに頭を痛めていますが。ここで、実際に分析されているケースはとても役に立ちます。実際のところ、会社内での事業を進めていく際には、外部に対する説明をすることを想定していないので、IRの現場では、そこで翻訳作業を行わなくてはなりません。それも直訳ではなく、かなりの意訳になります。そんなとき、この本で分析されているケースは一種のプラットフォームとしても使用できると思います。
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