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2011年3月20日 (日)

ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2010(12)

報告と誤り:計算できるものとできないもの

この手紙のはじめのところで、チャーリーと私はバークシャーを評価して、その進歩を量るためにみつけた数値を指摘しました。

我々が省略した、しかし、メディアでは多くが注目する数値、当期純利益、に焦点を合わせてみましょう。この数値は、大抵の会社では重要なのかもしれませんが、バークシャーではあまり意味がありません。我々のビジネスがどのように行われているかに関わりなく、全く法的に、チャーリーと私は所定の期間の当期純利益機をほとんど我々が好む数値にすることができました。

投資に関して実現された損失や利益が当期純利益に入り、未実現の利益(そして、ほとんどの場合の損失も)除外されので、我々は柔軟になれるのです。例えば、ある年のバークシャーに100億ドルの未実現の利益があり、一方で10億ドルの未実現損失があったとします。我々の当期純利益は、損失だけを計上するので、営業利益よりも少ないものとして報告されます。一方、我々に前年の実現された利益があれば、実際に我々のビジネスが非常に改善された時でも、我々の利益数%ダウンと見出しにすることもできるのです。

我々が当期純利益が本当に重要と考えているならば、我々は予定では巨額の未実現利益を持っているので、定期的に実現されたものを繰り入れていくことができます。ご安心ください、チャーリーと私は、有価証券を売却すると当期純利益に与える影響を考えて、有価証券を売却してきませんでした。我々は2人とも、1990年代アメリカ経済界には激烈に行われ、今でも以前ほど露骨でも頻繁でもないけれど行われている“ゲーム・プレイング”に対しては、深い嫌悪感を持っています。

営業利益は若干の欠点はありますが、一般に、我々のビジネスがどのように行っているかを合理的に見ることができます。それがあれば、我々の当期純利益の数値を無視しても、かまいません。規則に依れば、当期純利益を皆さんに、報告することを義務付けられています。しかし、皆さんは、マスコミの解説等がこの数値に焦点を当てているのを見ると、我々の場合よりも解説等の方で多く当期純利益の数値が使われているが分かるでしょう。

実現されたか未実現か、また、利益か損失かに関わらず、すべてが帳簿価格の計算では完全に反映されます。その測定基準の変化と我々の営業利益の推移に注意していれば、皆さんは道を誤ることはないでしょう。

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追記として、報告された当期純利益がどれほど気まぐれであるかを指摘しなければなりません。我々のプットオプションが2010年6月30日の満期日を迎え、我々は、その日、相手方に64億ドルの支払い請求を受けました。その時、証券価格は、全般的に、次の四半期の間上昇しました。そして、その四半期では9月30日に58億ドルにあたる数値にまで動きました。それでも、我々がこれらの契約を評価する際に使用するブラック・ショールズ方程式は、この間の貸借対照表上の負債を89億ドルから96億ドルに増やし、税効果の計算処理により、この四半期の当期純利益を4億5500万ドル減らすことを、我々に求めました。

チャーリーと私は、長期のオプションに適用されるときブラック・ショールズ方程式がひどく不適切な値を算出すると考えています。我々は、2年前の、このページでとんでもない例を述べました。もっと明確にいうと、我々はプットオプション契約の最初に投資をしています。そうすることによって、我々は取引相手お顧客が使用するブラック・ショールズ方程式による計算が不完全であると断言しました。

我々は、それでも決算書を発表する際には、その公式を使い続けています。ブラック・ショールズ方程式はオプション評価のための公認された基準で、ほとんどすべてのビジネススクールで教えられており、我々が、この方程式を用いないと、粗雑な会計処理をしていると非難されるでしょう。さらに、そうすることで、我々の監査担当者に克服できない問題を示すことになるでしょう。彼らは、我々の取引相手で、我々との契約の価値評価にブラック・ショールズ方程式を用いる人々が、クライアントとしています。このようなクライアントのブラック・ショールズ方程式で計算する価値と我々が独自に計算する価値があまりに遠くかけ離れてしまうため、この二つを監査担当者が両方とも正確であると証明することは不可能なのです。

監査担当者と監督機関に対してブラック・ショールズ方程式は正確な計算数値を生み出すことがアピールされています。チャーリーも私も、そのようなものは提供することができません。我々は、契約上の債務がブラック・ショールズ方程式で計算されたものよりも、はるかに低いと信じています。しかし、ガイコ、BNSF、そしてバークシャハサウェイ自身の価値について確な数値を示すことはできません。正確な数値を指摘することができないことは、我々にとって悩みの種ではありません。正確な計算による間違いよりだいたい合っている方を選択しているのです。

ジョン・ケネス・ガルプレイスは、かつて、経済学者は思考の点でも経済的であると陰険に述べました。彼らは大学院で人生の終わりまで一つのことを学習し続けます。大学の財務部門は、しばしば、同じように振る舞います。1970年代から80年代を通した効率的市場の理論に対する執着と、それを論破することになる強力な事実を、軽蔑的に例外と呼ぶことに、見ることができます。(我々は、地球平面協会は煩わしいが取るに足らない事実として宇宙船の地球の周回を見ている、というような議論が好きです)

明らかな事実として、ブラック・ショールズ方程式を教える学会の傾向は再検討を必要としています。さらに言えば、オプションの評価を思案する学会の傾向も同様です。皆さんだって、オプションの評価の能力がほとんどなくたって、投資で大成功することができるではないでしょうか。学生が学ぶべきは、いかにビジネスを評価するかです。それは、投資してみることが全てと、言えます。

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