ウォーレン・バフェットの「株主への手紙」2010(2)
パフォーマンス
チャーリーと私は他人の資金を取り扱うことを委任された人々は、彼らが管理を開始する際にパフォーマンス運用の目標をハッキリうたうべきだと信じています。このような基準が欠いたままでいると、経営陣はパフォーマンスという矢を射て、その着地点を中心とした周囲を塗りたくることになってしまいます。
バークシャーの場合は、我々は、ずっと以前に、我々の仕事は、スタンダード&プアーズ500種株価指数の増加(配当を含む)を超える率で1株当たりの実態価格を増やすことであると皆さんに、お話ししました。ある年には我々は成功もするし、別の年には失敗もするでしょう。しかし、我々がいつの日か、その目標に到達できなかったとしたら、我々は投資家のために何もできなかったことになります。そして、投資家自身はインデックスファンドを所有することによって、目標に等しいかそれ以上の結果を得られたかもしれないのです。
もちろん、課題は実態価値の計算です。チャーリーと私と、別々に、その課題を提示してみると、きっと2人から別々の異なる答えが返ってくることでしょう。単に精度が高いというだけでは無理なのです。
従って、主観性を排除するために、我々はパフォーマンスを測る際には、実態価値についての控えめながら代わるものとして帳簿価格を使います。確かに、我々の事業のいくつかは帳簿の上でのものよりはるかに多くの価値を我々にもたらします。(このレポートの後の方で、ケースタディを示すつもりです。)しかし、そのプレミアムが年々あまり揺れ動かないことから、帳簿価格は我々の調子がどうであったかを追跡するための妥当な装置として機能しています。
2ページの上表のテーブルは、スタンダード&プアーズ500種株価指数と比べた我々の46年間の記録を示していて、パフォーマンスは初期の数年間はかなり良い成績だったのですが、現在ではかろうじて目標としている基準満足させるのがやっとです。素晴らしかった時代は戻ることは決してないということを強調したいと思います。我々は現在莫大な資金を管理しているので、途方もないパフォーマンスを上げるようなチャンスに飛びつくような冒険は行えません。我々は、しかしながら、平均以上の結果を得るために努力し、皆さんが標準的である思っているレベルが公正であると思っています。
注意すべきことは、年間の数字は、無視されるべきではないし、すべてが重要だと見なされるべきでもないということです。太陽を周回する地球の公転周期は投資のアイディアや投資の決定が実を結ぶために要する時間とは一致しません。例えば、ガイコで、我々は目先の利益を全く生み出さない保険契約者を得るために、昨年、9億ドルを広告に費やしました。我々が、その2倍の額を生産的に費やすことができるなら、短期的な結果は我々が処罰をうけるほどのものになるでしょうが、我々はあえて実行するでしょう。我々の鉄道やユーティリティ向けの多くの大規模な投資も、また、目先の収益より優先させます。
皆さんにパフォーマンスについてのより長期的な見通しを提供するために、2ページに示した年間数字を5年間という期間ごとの数字に練り直したものが次のページの表です。全体として、全部で42の期間があり、それらはエピソードを語ることができるでしょう。比較してみると、我々にとって最良の年は1980年代初期で終わりました。しかしながら、市場の黄金期は17年後にやってきました。バークシャーが相対的な優位性が狭まりながら輝くほどの絶対的な収益を達成できたときです。
1999年以降、市場は失速しました(皆さんは、すでにそのことに気付いていましたか?)。したがって、バークシャーがそれ以来、スタンダード&プアーズ500種株価指数と比べて、これを上回るという目標を満足させた結果については、穏やかなものしかお届けできませんでした。(突出した結果をお届けすることはできませんでした)
将来に向けて、我々はスタンダード&プアーズ500種株価指数よりも数ポイントでも上回るアベレージをあげたいと望んでいます。もちろん、実績において確実にそれができるというところからは遠いところにいますが。もし、我々が、そのようなことができるようになった(コンスタントにS&Pを上回るアベレージを上げること)とすれば、株式市場環境が悪いときに相対的に良い結果を上げ、市場環境が力強い時にはよくない結果ということになるでしょぅ。
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