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2011年4月25日 (月)

前島賢「セカイ系とは何か~ポスト・エヴァのオタク史」(1)

Swkai 乱暴な言い方をすれば、昨日取り上げた岡田斗司夫がオタク第三世代と言っていた人たちを中心としたオタクに関するものです。(本書の中で、岡田の「オタクはすでに死んでいる」は批判的に取り上げられていますから、あながち全く異なる視点ということはないかもしれません。)

序章 セカイ系という亡霊

2000年から2009年をゼロ年代という時代とし(この世界では、既にそのように呼ばれているようです)、この時代を通じ、オタク文化コンテンツ(例えば、マンガ、アニメ、ゲーム。ライトノベルあるいは秋葉原やネット)をめぐる言説空間の中でさかんに取りざたされたのが「セカイ系」というものです。

この「セカイ系」なるものはどのようなものか、一応の定義として次のような要素を持つ作品が当てはまるとされているといいます。

・少女と少年の恋愛が世界の運命に直結する

・少女のみが戦い、少年は戦場から疎外されている

・社会の描写が排除されている

しかし、実際にはセカイ系を代表するといわれる作品には、これにすべての要素が該当するとは限らないし、ある作品がセカイ系の典型ともアンチ・セカイ系とも呼ばれることがある。そのため、セカイ系なるものは単なるバズワード(明確な定義や含意がないまま、特定のグループ内で流通する言葉)であって実体は存在しないとも言われる。そこで、著者は、そもそもセカイ系という言葉のもとには「一人語りの激しい」作品を名指すものとします。しかし、それだけでは広すぎることになりかねない。

さらにセカイ系を巡る議論をややこしくしている原因として次の2点をあげています。

・定義が曖昧にもかかわらず少なからぬ作家たちが、セカイ系を意識した作品を後追いで次々と発表したこと。つまり、セカイ系という言葉が生まれた結果、セカイ系の作品がうまれるという逆説的事態が起こったこと

・セカイ系という言葉は元来、批判的、揶揄的な意味合いで、セカイ系と定義された作品が賛否を巡る激しい論争に晒されてきたこと

著者は、結局、「セカイ系は存在しない」という議論と「セカイ系は是か非か」という議論に挟まれ、「セカイ系とは何か」は問われなかったのが原因と言います。そこで、本書は、この問題を追求しようというのが目的です。

結論を先取りして言えば、『新世紀エヴァンゲリオン』と、その影響とは何だったのか、というオタクたちの問いかけから生まれたものと著者は言います。

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