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2011年4月12日 (火)

三品和弘+三品ゼミ「総合スーパーの興亡」(2)

そこで、さらに探した結果、意外なところに要因が見つかりました。彼らが見出した決定因は開店年度だったのです。つまり、開店年度が遅ければ遅いほど、店舗が新しいと店舗の売上において競合店より勝っている、ということになったのです。

ということは、最初の「良い店長さんがいると、店舗の売上も良い」という仮説は成り立たなくなります。店舗が新しい方が勝つということなら、新店舗を出すことを決めるのは本社の企画ということになります。そこで、彼らは視点を本社に移します。かれらは、各社の有価証券報告書や財務諸表を読み砕き、ビックスリーの出店政策を焙り出していきました。そこで、ビッグ・スリーの特徴は「規模のダイエー」「集中のイトーヨーカ堂」「転換のジャスコ」と特徴づけます。このような特徴が現れる原因として、次の3点が考えられます。まず、新規出店といっても、多大なコストがかかるため、限られた出店数で最大限の効果を発揮する政策が求められる。また、新しい店を出店しても、数年後、その近郊に他社が新たに出店すると、客を奪われてしまう。そのためには出店されない工夫も必要になる。そして第三に、古くなった店舗への対応です。新しい店舗を出す攻めの姿勢も大切ですが、古くなった店舗をどうするのかという守りの政策も同じように重要といえます。このような難しい課題に対して、三社は三様の解答をつくり、真正面から取り組んだことを焙り出します。分析の切り口は、新しい店舗の数と立地から見ていきます。

まずは、出店5年以内の店舗数の推移を比較してみると、ジャスコが新しい店の割合を増やしているのが一目瞭然です。ジャスコが多くの店舗を出店できるのは土地をリースしているからです。また、閉店店舗数を比べて見ると、ジャスコは毎年平均5店舗を閉店させており、古くなり競争力を失った店舗を閉店し、新しい店舗を出す、いわゆるスクラップ&ビルドの手法をとっていることが分かります。また、ダイエーも一時的に閉店をまとめて行っていますが、合併によって受け入れた店舗が自社の規格に合わないため、閉店したもので、競争力の低下した古い店舗を閉店させるという考えはなかったものと考えられます。これらに比べてイトーヨーカ堂は閉店店舗数が極端に少ないことが分かります。これは一度作った店は潰さないという考えがあるようです。その理由は、別に考えます。

次に立地の点から見ています。ミクロの視点により駅から距離によって店舗分布を見ていくと、ダイエーとイトーヨーカ堂は駅から近い店舗が多いのですが、ジャスコの店舗は、とくに新規出店の大半は郊外にあります。あきらかに、他の二社とは異なる政策で、これはSC(ショッピング・センター)といえます。つまり、従来の駅前総合スーパーというビジネスモデルからいち早く脱皮し、SCのテナントの一つとして総合スーパーを出店させるしすえ姿へと転換しているのが分かります。今度は、マクロな視点で日本のどの地域に出店しているかを見ていきます。ここには三社の特徴がよく出ています。まず、イトーヨーカ堂は、関東に集中的に出店しています。ドミナント出店と呼ばれる出店方法です。関東に集中して出店しているため、狭い範囲に多数のイトーヨーカ堂の店舗が存在します。そのため、他社の店舗が出店する隙間がないと言えます。そのため競合店の新たな出店を防ぎ、古い店舗でも競争力を保てるという仕組みです。これが、イトーヨーカ堂が店舗を閉鎖させない理由と考えられます。赤字店舗を一店閉店させることで、そのテンポの赤字が解消されるとしても、結果的には、競合店が出店してしまい、影響が他の店舗に及ぶことになります。その影響を考え、店舗を閉鎖することがなかったのです。これに対して、ダイエーは拡大志向が強いと言えます。店舗を合併により多数の店舗に拡大しました。ここに、新しい店舗が強いということに対しての対応策は見られません。ジャスコは広く分散して出店しています。これは、新しい店舗を増加させることと、いかにうまくSCを利用するかということの二つが出店政策の軸だからです。

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