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2011年7月25日 (月)

あるIR担当者の雑感(38)~個人投資家を馬鹿にしていないか?

先日も、あるIR支援会社から、個人投資家向け対策のセールスを受けました。IRのなかで個人投資家対策というのは、ひとつの大きな項目というか、課題になっているようです。各企業のホームページでもIRページには「個人投資家のみなさまへ」といような特別のページを作ってあったり、個人投資家を集めた個人投資家説明会を開催している企業も多くあると聞きます。あるいは、なんとか協会とかで表彰される優秀IRの表彰等の場合には、個人投資家向けの何かを積極的に行っているというのが必修項目になっていたりするようです。

その中で、私としては気になるのが、例えば、企業ホームページから、その「個人投資家の皆様へ」というページに飛ぶと、全体のトーンが変わって、まんがのようなイラストが多くなり、字が大きくなり、説明がひらがながおおくなって、まるで子供向けの絵本のようなものになっていることが多いことです。これは、個人投資家というのは、機関投資家のようなプロと違って、経験も少なく情報も持っていないので、知識のない人にも分ってもらおうと企業が努力しているものだと思います。しかし、多くのべージを見ていると、ほとんど何も知らない人というのか、今日から株式投資を始めた初心者、あるいは中学生で社会の勉強をしている人のような人を相手にしているように見えます。それにしても、個人投資家って、それほどモノを知らないのでしょうか。

というのも、株式投資というのは、投資をする人が身銭を切って、自らの責任のもとで企業を評価して、それをもとに投資判断をして、お金を出すというものです。だから、何の判断材利用もなくイチかバチかでお金を張る賭け事とは違うのです。だから、A社という企業に多少なりとも投資をしようと考える人は、その判断をするために情報を集めるし、そのための基礎知識は当然ひつようですが、それは株式投資を始めための前提として、最低限の知識はスタート時点で持っていなければならないものだと思います。じっさい、そんな用意もなく株式投資に手を染めるような人は、それ相応のしっぺ返しを食らって当然ではないか。そんなに生易しい世界ではないと思います。何か、私が目にしている、企業やIR関係者や市場関係者による「個人投資家」は、そういう初心者というニュアンスが強いように思います。

さきにも言いましたように株式投資には、大きなリスクが伴い、生さやしい世界ではなく、そこには当然覚悟を伴います。それには、投資する以上、個人投資家であろうが機関投資家であろうが変わりはないと思います。株式投資というのは、危険を伴う以上、一定以上の判断力と責任、そのための最低限の知識をもった人だけが参加することのできるものではないでしょうか。そんなことを言うと、閉鎖的とか、株式投資の間口を狭めるという批判はあると思いますが、別に門戸を閉ざすと言っているわけではないです。ただ、誰でも気軽に入り込めるところではなく、そのことが分らない人には、どこかでハッキリと言ってあげないといけないと思うのです。

今、私が思うのは、そういう人も含めて「個人投資家」として、関係者がやさしく(誘惑の?)手を差し伸べて、(猫なで声で)ようこそ、いらっしゃいと言っているように見えてなりません。そこには、何も知らない(馬鹿な)「個人投資家」を引き込んで株を買わせよう、というような、悪意に取れば、うまく「個人投資家」を利用しようというような底意が見えるように思えるのです。

しかし、実際に私が話をしたり、やり取りをした機関投資家でなく株式投資をしている人は、よく勉強していて、情報も得ている人か多かったです。中にはプロにも劣らない見識の持ち主、こちらが敬服するような人も少なくなかったです。だから、私が思うのは、そういった人を大切にして、そういう人が増えていくことに協力していくことの方が大切なのではないかと思います。

だからというわけではありませんが、私の勤め先では、個人投資家向けのホームページというものは作っていません。投資をする人を個人投資家だの機関投資家だのと区別していないつもりです。仮に、「個人投資家」から資料請求や問い合わせがあれば、機関投資家と同じように対応しています。それで、もし難しくて理解できないというのであれば、電話などでそのときに質問されれば分かり易く説明することは辞さないでます。しかし、最初から説明のレベルを下げるようにことはしていません。

これは、私の夢で、おそらく、この記事を読まれている人は絵空事のように受け取られるかもしれませんが、でも一社ぐらいこういうのがあっても、いいのではないかと思うのです。その会社というのは、IRに熱心で会社のことを理解してもらうために資料やホームページを充実させるなどあらゆる努力を惜しまない。しかし、その内容が、かなり突っ込んだ内容なので、その会社から発信される情報を理解するためには、ある程度の株式投資に必要な知識や新聞を読んだりというような経済の常識等がどうしても必要になる。だから、初心者には歯が立たない。しかし、投資をする人の間では、その会社の発信情報を理解して投資できるというのは、一定のレベル以上の知識を持っているというステイタスの証にもなっている。「私も投資を初めて○年、ようやくA社に投資できるようになった」とでもいうような投資の指標となるような会社があってもいいのではないか。

そういう人や会社の集まった株式市場であれば、規模は小さくとも、立派に資金調達や新しい企業の育成、あるいは投資リターンといった機能をはたせる、高機能の市場ができるのではないと、というような絵空事を考えることがあります。

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