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2011年7月10日 (日)

あるIR担当者の雑感(33)~ IRのニッチ戦略(13)

前回の議論では、どのような情報─議論の成り行きから言うと、情報と言っていいものかどうか、分からなくなりそうですが─を出していくかということについて、その何が雲をつかむように曖昧模糊としているので、周囲を回っているような状態に陥っていました。

もしかしたら、このような情報(?)について考えていくというようなことについては、巷で出回っているようなIR業務の手引書とかハウツー本には書かれているものでもなく、IRという業務の定義からはみ出してしまうかもしれません。多分、このようなことを最も知りたがっている、もしくはキッチリ把握しているのは、会社の内部では経営者ということになるでしょうから。

ということで、IR担当者の身分としては、「これだ!」と具体的に決めつけるように明確に打ち出すということは難しいのかもしれません。ただ、くどくどとした議論に付き合っていただいた中で、漠然と、なんとなくイメージのようなものは抱けるのではないかと思います。ただ、切り口としては、前回少し触れたように“企業は人なり”というのが入り口になるのではないかと思います。だからといって経営者や社員の人物紹介というのとも違います。

ここからは、どのような情報を出していくかだけではなく、どのように情報を対象となる人々に届けていくか、ということも同時に考えていこうと思います。というのも、ここでイメージとして述べてきたものを、例えば一枚のペーパーにリリース文書としてまとめて、こうですと発表できるようなものでもないし、そのような手段では受け手にも届かないと思うからです。前回で、企業の創業に際して創業者が投資家や資金提供者に説いて回るような原点のイメージを述べたと思いますが、そういう段取りで初めて伝わるからこそ、創業者を見込んで資金が集まってくる類のものでもあると思います。企業のIRなどとたいそうなことを言って、マスコミ等を相手にするようなことがあったりすると、そういうことを考えるということはないかもしれませんが、他人の身銭を切らせて資金を集めるわけですから、原点としてそういうところがどこかに残っているはずです。で、ここでイメージしている情報というのは、それに通じるものであるはずなので、そういう場面に準ずると考えねばなりません。だから、ホームページに綺麗事をそれらしくレイアウトして皆さんご覧ください、という情報発信はできないし、できたとしても伝わらないと思います。伝達の形式として、このような一対多というように企業が不特定多数に対して一斉に情報を一方的に流すというより、一対一の対面で双方向の対話に近いような形で、伝わるか伝わらないか、あるいは受け手が納得するかどうか、ということではないか。つまり、パーソナルなやり取りに近い情報発信という、語義矛盾になるかもしれませんが、一対一の対話自体により付加価値を生じさせるような形式で、それにより伝えられる何か。というものも、そうですし、そういうものを追求し、伝えようとする姿勢が伝わるようなこと、これができないかと思うのです。企業創業の際のイメージを原点的なものとして何度も触れていますが、そこで“企業は人なり”とその人に対して投資がなされるというのは、その人物や経営理念、経営方法や技術に惚れ込むというのか共感とか共鳴というような、感情レベルの動きも働いていたはずで、そういうものは、株式投資の当なれば原点のようなものとして、機関投資家、個人投資家を問わず、多かれ少なかれ持っているのではないかと思います。例えば、機関投資家は投資判断の際にデータ分析は当然行いますが、当の企業を訪問したり社長と面談するところもあります。同じように、個人投資家一人ひとり全てに、そうやって企業が対応して、投資判断をしてもらうということは考えられないでしょうか。物理的に対応しきれないというのなら、それに代わるような情報を、それとわかるように投資家の許に届けることはできないでしょうか。また、企業の側でも、経営企画の部署のはじき出すようなデータが経営ではないはずです。

このようなことは、どこの企業でも、IRについて真面目に考えようとしたら、ある程度まで容易に思い至ることなので、少なからず各企業でも様々な試みが為されていると思うのですが、実際に、そのようなことの感じられる事例に出会ったことがありません。そこで、お手本は探しますが、とにかく自分で考えて試行錯誤していく他なさそうです。そこで、次回からは、具体的な試行錯誤についてお話していきたいと思います。

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