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2011年7月19日 (火)

本田雅一「これからスマートフォンが起こすこと」(2)

第1章 スマートフォンの正体

筆者は、「スマートフォンとは何かと」いう問いに対して、一言で言い切るなら「パソコンである」とする。では、パソコンと携帯電話とは何が違うのか、というと、パソコンというのは、ソフトウェアをインストールすれば、どんなソフトであろうと動かなければならない。応用範囲に限定はなく、機能や性能が制限されることもない。つまり、ユーザーに対して自由を保証しているのがパソコンの特徴といえる。これに対して携帯電話は、秩序的かつ理性的と言える。ユーザーの自由をある程度規制することで、全体の満足を高めようとする。実は、携帯電話は、端末に割り当てられる通信量が限られていて、インターネット回線に比べると携帯電話網で利用できる通信量(通信帯域)ははるかに小さい。そのため、パソコンと同じように自由にネットワーク帯域を使用することはできないのだ。きちんとした交通整理によってネットワークの使い方を管理する必要性が、どうしても生じてしまうのだ。まして、日本で携帯電話を売っているのは携帯電話会社だ。彼らにしてみれば、ユーザーが快適に通話できるネットワークを提供することが何よりも優先される。だから、どのくらいの帯域ならば問題なく利用できるか、そしてその帯域幅で楽しめる用途は何か、ということを考え抜いたうえで新機能を追加してきた。ここで商品設計を間違えばネットワークは混乱してしまうのだ。一方、パソコンを使ったネットワークを支えているのはベストエフォートという考え方で、言い換えれば、その場しのぎの発想だ。ユーザーは自由気ままに利用できるが、そのかわりに不便も受け入れて我慢しなければならない。ユーザーに制限をかける携帯電話のネットワークとは、発想、思想が全く正反対と言える。スマートフォンは、このようなパソコンから派生したものだ。だから、メールやウェブサイトをはじめ各種機能のほとんどは、パソコンと同じように自由気ままにネットワーク帯域を使うことを前提にしている。通信帯域を節約しようなどという考えはまるでないのだ。そのため、スマートフォンは携帯電話会社にとってはリスクが高いサービスと言える。このようなスマートフォンはアップルのiPhoneで、iPhoneの登場により、それまでのルールが変えられてしまった。

iPhoneは発売当初から3.5インチという携帯電話として破格の大画面でパソコン上で管理している情報を同期することができた。しかし、それ以上に話題になったのは、端末の全面に画面展開するために導入された、複数の指の位置を感知できるマルチタッチ対応のユーザーインターフェイスだった。そして、第二世代となるiPhone 3G以降は、初代がパソコン世代を刺戟し、多くのフィードバックを得て商品を充実させ、さらに追加のアプリケーションを自由にインストールできる環境や、アプリケーションを開発するための環境を整えた。ここから販売が急激に拡大して。

最初に、著者はスマートフォンはパソコンであると言った。しかし、これには、もうひとひねりある。iPhoneはパソコンから、日常的に利用する機能やデータだけを取り出して凝縮した小さな電子の板だ。ほとんどのユーザーは、パソコンと同じ電子メールが使え、スケジュールが管理でき、アドレス帳を参照し、メモを見て、さらに写真や音楽をパソコンから切り出すことができる。このような製品をコンパニオンデバイスという。iPhoneはパソコンに比べればコンピューターとしての能力は格段に低い。だが、宿主であるパソコンの能力を利用することで、パソコン並みの情報収集能力を発揮することができる。例えば、電子メールもすべて同期するのではなく、iPhone内部で管理しているのは一部に過ぎない。検索用のインデックス情報はパソコンが抽出しておき、それをiPhoneに転送している。こうすることで、パソコンが使う多様なデータがiPhoneという小さな装置でも軽々と扱える。

一方、iPhoneは携帯電話に比べてアプリケーション開発者に対して開放的で、パソコンに近い自由な開発が行えるうえ、ネットワークの使い方に関する規制もゆるかった。このため、iPhone向けにはウェブサービスを利用する多様なアプリケーションがつくられた。また、パソコンで利用しているクラウド型のサービスを、iPhoneでダウンロードし同期して利用するというスタイルも広まった。このことにより、ユーザーの端末の選び方を変えてしまった。携帯電話に限らず、デジタル製品は機能、魅力が時間の経過とともにドンドン陳腐化する。だから各メーカーは多様なバリエーションを用意し、新しい付加価値を搭載した戦略製品の投入を繰り返す。しかし、iPhoneは付加価値の高い高機能製品でもなく、製品としてのモデルラインアップもない。しかし、OSを常にアップグレードすることや、最新の機能やサービスを更新していくことで、製品の長寿命化を実現した。

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