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2011年7月 4日 (月)

渡辺二郎「ハイデッガーの実存思想」(14)

第4節 ハイデッガー哲学の展開様相

ハイデッガー哲学の展開様相としては、大きく、前期、転換期、後期の三期に我々はこれを分かち、更に前期を特に三つの小区分に分けてこれを考えた。

我々は、ここで次の二つの事柄を最後に注意して置かねばならない。

第一に、ハイデッガーの思想は、有機的な展開過程において発生、成立しているものであり、従って彼の体系的な思想自体は、この発展史的な思想の展開過程と切り離して考えることはできない。例えば、彼が、『形而上学とは何か』の論文にその後二つの文章をつけ加え、稍々異なった思想へと元の主題を深めているという事実、或いは喧しいいわゆる転回の問題も、実は存在への問いの底に潜む体系的な問題ではあれ、事実上は前期と後期の思想的展開の中で、発展、展開して来ている、極めて有機的なものであることを明示している事実であるといっていいであろう。従って我々は、ハイデッガー哲学の体系的再構成を試みる場合にも、単に思想それ自身の理由づけに腐心するだけでなく、充分に思想の展開過程の中から、問題それ自身の論理的展開をも探り当てようと考えたい。即ちハイデッガーでは、思想の発展史的展開とが深く絡み合っているので、我々は、発展史的展開をも洞察してゆかねばならないと思う。しかし第二に、ハイデッガー哲学は、そうした変貌しゆく展開過程の中にありながら、それ自体としては、実は常に同じ究極の問題を問い出しているとも言い得る。前期の思想が現存在に基づいての存在解明であるとすれば、後期では現存在の根底の存在への聴従の世界の解明が問題である、というように、実は彼の思想は、実存に根ざしつつ常に存在を問い、また存在にかかわる根拠としての実存のあり方に思索の中心を据えるといったように、実存と存在のかかわり合いの世界に、究極の思索の中心をおいている。これが、我々が前節でみた実存哲学の根本問題でもあり、我々が根本的な論題として確定しておかねばならない中心問題でもあるのであった。それ故我々は、ハイデッガー研究に当たって、まさしく彼の思想がそれを中心としてめぐっている実存と存在のかかわり合いの世界の問題に中心問題をおいて、その論題を究極の一筋の論題として見定めつつ、ハイデッガー哲学の再構成を遂行してゆかねばならないであろう。

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