あるIR担当者の雑感(34)~ Rのニッチ戦略(14)
今回の連続した投稿は、そもそも、IRのホームページを中心にして、個人投資家向けの情報発信について考えたのが発端でした。そこで、具体的にはホームページをはじめとした個人投資家といわれる人々への情報発信、とくにインターネットを主として考え行きたいと思います。実は、私の勤め先のホームページ、中でもIRページは、よくIR表彰を受けるような企業のIRページのような親切なものになっていません。必要最低限に近いものを取敢えず掲載しているようなもので、整備が課題と考えてきました。以前の投稿で有名企業のIRページを名指しで批判したこともあり、色々な思いはあるものの、実際にやってみると、遅々として進まないという状態になってしまいました。このように遅々として進まないことには、私の怠惰も原因しているのでしょうが、色々な会社のページを参考に見ているうちに、これ連続投稿で考えてきたような視点をベースにして見てみると、企業の側からの一方通行が無意識のうちに(多分、意識的に、そこまで戦略的に考えているケースというのは、私の見た範囲では、ありませんでした。)、デザインの基本的な思想というのか発想がアニュアルレポートや新聞広告、あるいはテレビCMと同じものであるように見えてきたのでした。この前までの投稿で考えてきたようなIRというものの性格が、インターネットという双方向のやり取りができるという特徴ともっと親和性があるはずなのに、そのことを十分生かし切れていないようにも思えたのです。例えば、表面的なことで、見てすぐそれて分ることとしては
・受け手からの声を受信するようにことが、全く触れられていないか、触れられていたとしても、連絡先などの、そのための回路の表示が小さくて分かりにくいこと
・双方向のやり取りをするということは、企業の側でも、受け手からの声に対して謙虚に耳を傾け、場合によっては、その意見に従うこともあり得るはずであるのに、例えばホームページをもっとこうしたらいいという意見があっても容易に動けないようにカッチリ作られていること
では、そのようなことを言っている、当の私はどうなのか、というと実際に、このように条件ら対してクリアできるようなページはどのようなものか、と頭を悩ませているのが現状、というところです。
それどころか、ホームページという形式自体が、情報の一方的な提供という形式からは、どうしても抜け出せないところに限界があるのではないかと感じています。だから、ホームページは、そういう限界があることを踏まえて、ここは会社の理解への入り口の一つとして、程度に考えてつくることが望ましいと考えます。とすると、いろいろと回り道してきましたが、ホームページはそれ自体がもつ機能の限界のために、従来の各社でつくられているものと、結果として、それほど大きく変わらないものということになってしまうでしょうか。ホームページで独自性を強く印象付けられないかとおもってきましたが、従来の枠組みの中で表現方法として、単なる見せ方として変わったやり方を考えてみるということで、意外とホームページというメディアには可能性がないかもしれません。
しかし、さっきホームページで物足りないとして取り上げた2点に関しては、ホームページの機能の限界を越えさせ、これまで考えてきた、投資家とのコミュニケーションといういみで最も重要な要素として考えるべきだと思います。でもこのようなホームページ自体に限界があるとすれば、手段(コンテンツ)としてのホームページに固執することもないと思います。とは言っても、それ以外に別の画期的な手段があるのか。ということについては、次回で考えてみたいと思います。
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