あるIR担当者の雑感(36)~ IRのニッチ戦略(16)
この一連の投稿も、最初は雲をつかむような話で、話の道筋も行ったり来たりで、どうなることかと思っていましたが、ようやく焦点に近づいてきました。私の勤め先はニッチな事業をしている、投資先としては取り立てて魅力的に映らない企業は、他のメジャーな企業と同じようなIR活動を行っても、競争に勝てるわけがない。そこで、そういうメジャーとは別の土俵で戦おうというわけです。では、具体的にどうするのか、例えばインターネットという、今では、どの企業でも利用しているし、投資家にとっても企業の情報収集する際に、真っ先に利用するメディアに対して、そういう姿勢が採れるのか。もしそれができれば、従来のネットワーク網に引っ掛かってこなかった人々に対してメッセージを送ることができるのではないか。というのが、ここまで、紆余曲折、一歩前進二歩後退しながら、話してきたことです。そして、その具体的手段として、フェイスブックというSMSの可能性に賭けてみたいという結論に近いところまで辿り着いたというわけです。
では、実際にどのようにフェイスブックを生かして利用しようとしているのか。以前にも言いましたように、日本の企業でも早く着目して、企業のファンページを開設しているところも少数ながらあります。しかし、それらを見てみると、IRのホームページの簡易版であるか、IRニュースの速報掲示板のようなつくりのようです。フェイスブックの可能性は認識しているものの、どのように生かすかの検討が未だ十分になされていないので、取敢えず開設してみたというところではないかと思います。私がフェイブックを利用する際に、最大のメリットと考える双方向性のコミュニケーションの可能性に対して、従来のホームページの倣った一方的な情報発信のやり方を取っていては、意味がないと思います。
それでは、実際にどうするのか、と疑問に思われるでしょう。私も、実は分らないのです。こう言ってはなんですが、今までのやり方ではない、別の新しいやり方を考え試していくしかないと思っています。手始めとして、企業のファンページという改まったものでは、どうしてもお堅い公式見解を一方的に発表するという方向に流れてしまいがちなので、担当者が個人という資格で始めてみようと。フェイスブックの場合は、実名で登録し本人のプロフィールを明かすことができることを逆に利用して、企業の担当者であるという立場を明確にしたうえで、企業にいるIR担当者としての日常や思いという身近なものや決算発表のような公式な発表を織り交ぜながら、企業の理解と、個人対個人という形体でのコミュニケーションの機会を作ろうと考えています。そこで、あわよくば、運が良ければ、投資家の人々のアンテナに触れるかもしれないと気長に待つというやり方です。
行き当たりばったり、と言われれば反論できませんが、しばらくは可能性に賭けてみたいと思います。
興味のある方は、下のアドレスを覘いてみて下さい。ただし、フェイスブックに登録していないと入れません。
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