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2011年8月 4日 (木)

あるIR担当者の雑感(40)~IRとしての株主総会~株主通信の作り方(2)

今回から、具体的に作っている株主通信に即して考えていきます。株主通信には、社長あいさつ、事業の報告、財務諸表、トピックスなどの様々なページがあります。

ここでは、先ず表紙について考えてみたいと思います。私の勤め先の株主通信の表紙は、極めてシンプルです。白地に「第○期株主通信」のタイトルとその事業期間、そして右下に発行会社と下にコーポレートカラーの帯というものです。このデザインは毎号同じで、変わるのは事業年度の数字と事業期間の年の数字だけです。企業によっては表紙に写真を載せたり、印象的なデザインにしてみたりと、様々な工夫が為されているようです。

まず、私の勤め先の株主通信が、素っ気ないほどシンプルな表紙になっている理由は、表紙を変えないで毎号同じもので通したいという意図があったためです。もし、表紙に写真やイラストのようなデザイン性の強いものを入れると、単発としては印象が強いものとなります。しかし、そういう表紙であればあるほど、毎号同じものにすると飽き易い、陳腐化し易いものとなってしまうのです。そこで、考えたのは一見作為が感じられないようなもの、しかし、抵抗なく目に入ってくるようなもの、つまりデザインそのものに自己主張が一見感じられないものでした。そういうものは、最初の印象が極めて弱いので、後で印象が陳腐化することがない。最初から陳腐化しているわけですから、その代りに繰り返しみても抵抗がなく、だんだん目に慣れてくるものです。そのための配慮として、例えばタイトルのフォントはゴシック体という一般的なフォントをベースにしていて、色も黒ではなくグレーにして目に抵抗感の少ないものにしてもらっています。

また、これは結果的にこうなったということなのですが、このようなシンプルな表紙のイメージが、私の勤め先のようなメーカーは技術という目に見えないものを核として、余計なことは考えずに技術一本で勝負をしていくというメーカーのイメージ、カッコよく言えば、企業の姿勢に合致して見えるということにもなりました。

さらに、カラー印刷の株主通信で、このような素っ気ないデザインのものは少ないため、結果的に他の会社の株主通信に対して表紙の点で差別化できていると思います。

では、表紙デザインの理由であった毎号同じ表紙する理由について、次に明らかにします。まず、毎号の表紙を同じものにすることによって、この会社の株主通信はこのようなものだ、こういう表紙のものがこの会社の株主通信であると、継続して手に取る株主に覚えてもらい易いというのが第一です。そして、第二に、毎号表紙デザインが変わるのではなくて同一のデザインとして通すことで会社の姿勢が変わらないことを表現したいがためです。株主通信は株主に向けての会社のレポートで、表紙はその顔となるものですから、そこに会社の姿勢というのか、大げさなことを言えば思想のようなものが現われていたいという意図です。第三には、コストと担当者の手間を省力化するためです。

ただし、この点に関して、ある株主さんからは、毎号同じデザインなので、いつの事業年度のものか、すぐに見分けがつかないという意見(苦情?)もあります。たしかに、その通りです。

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