無料ブログはココログ

« 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(3) | トップページ | 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(4) »

2011年9月 1日 (木)

あるIR担当者の雑感(47)~レポートの感想

レポートを書いてもらえたことの興奮が未だ冷めていません。多少は冷静になってきたので、冷静にレポートを読み直してみました。

以前、会社紹介レポートを書いてもらった時の印象を書き込みましたが、その時のものは会社を紹介してもらうちという中立的なものですが、今回のは証券会社が発行する銘柄紹介のレポートでレーティングのような評価も入るものです。つまり、レポートを読む人が投資判断をするためのものなので、厳しさが違います。

また、大きな違いはレポートの分量です。今回のレポートではどうしても枚数の制約があり、限られた中で会社の紹介とその銘柄の可能性(あるいは、その銘柄を推奨するポイント)を理解してもらわなくてはならない、ということでかなり凝縮され煮詰められた表現になっています。あまり、以前に感想を書いたレポートと比較するのは、そもそも目的や性格が違うので単純に言えないのですが、前のは会社に興味を持った人がその会社を理解することが主な目的であったので、分量もあり、内容も盛り込まれたものでした。これに対して、今回のは、投資対象として銘柄を紹介するのが主な目的であるでしょうから、先ずはその銘柄が投資対象としてどうかという興味の対象として扱われるようにということ、その中で会社の紹介もふくめて行われるというものですから。

その点での会社の紹介も隈なくというわけにはいかず、ポイントを絞り、それが投資対象の銘柄としてどうだということに繋がるという絞込みが為されていて、このポイントの絞り方というのは、IR担当者としてはとても勉強になるものです。それも僅か200字強の限られた中で手際よくされていて、会社の強みまでさりげなく触れられているので、すぅっと読む人の中に入ってくるような感じで、よく読むと沢山の内容が詰まっているものです。それを、会社のIR資料で調べると数ページを費やしている内容です。

そして、会社が将来に向けて成長させていくドライバーとなるべく期待している事業についての説明、これが会社の将来への期待の説明という意味合いのものとなるものでしょうけれど、それ自体の説明の前に、敢えて150字くらい費やして、これまでの事業経過からどうしてその事業が会社の将来に期待されるものであるかに説明をされていて、それで、その事業の期待度、重要度、それだけでなく、会社がこれまでに堅実な経営をしながらも事業展開に対して積極的に進め、前向きな姿勢であったことが分かるような書き方になっている。この辺りの凝縮された文章表見んというのは、こんな中途半端に文章しか書けないIR担当者から見ると、プロの凄みを見せつけられた感がします。

そして、会社の将来に期待している事業に対しては敢えて多めにスペースを割いてかなり細かく、具体的な説明になっている。この細かさは前のセンテンスと比べると比較できないほどでが、事業で取り扱う製品がユーザーの現場で、どうなると単位として何台必要になるかという細かな点まで、まるで微に入り際を穿つように説明されていますが、製品自体がB to Bで普通の人にはイメージできないので、たしかにこのような説明だと、販売数はこうすれば伸びるというのが具体的にイメージできる、そして、そういうイメージができると何か伸びるように思えてくる。具体的なイメージの強さでしょうか。リチウムイオン二次電池の生産ライン向けの検査装置なのですが、昨今の電力危機で脚光を浴び始めたスマートグリッドや電気自動車の基幹部分を担う製品の品質に関わるものなので、将来性をイメージしやすいところはあります。しかし、生産ラインは未だ本格的に量産体制が確立されてはおらず、電機の規格や仕様をめぐり各電池メーカーの思惑が飛び交っているため、増産体制に向けて足踏み状態となっていますが、それでも希望が持てるものであることが、このレポートを読むと分ります。

そして、足下の状況と説明の文章は1ページに満たないスペースに充実した内容が盛り込まれ、至れり尽くせりになっていると思います。正直なところ、今まで漫然と読んでいて気が付きませんでしたが、自分の会社がレポートされているのを読んで、実際の取材を受けて、多少なりとも舞台裏がわかって読んでみると、アナリストの人が、いかに見えないところで工夫をし、普通では想像できないようなアンビバレントな要求に応えているかが、分かりました。

これだけの努力をしてレポートを書いているアナリストのことを考えれば、書いてもらう発行会社はそうしてもらえるだけの努力をしなければならないのは、当然のことだとおもいました。

« 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(3) | トップページ | 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(4) »

あるIR担当者の雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あるIR担当者の雑感(47)~レポートの感想:

« 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(3) | トップページ | 下川浩一「自動車産業の危機と再生の構造」(4) »