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2011年10月25日 (火)

小林英夫「日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ」(1)

本書は、日中戦争とは何だったのかを一般読者が的確に理解できることを目的として、二つの手がかりを活用していく。

一つ目は8年間に及ぶ戦争の経過を網羅的に見ていくのではなく、大局的に両国の戦略を比較する「視点」である。戦争とは相手のあるパワーゲームであり、自国の戦略と相手国の戦略とがぶつかり、せめぎあうなかで様相が変化して行くものである。個々の戦局はその結果として決定づけられるに過ぎない。に中戦争を理解するに当たっても、日中両国がどのような戦争観、国家観のもとに、どのような戦略を立て、それがどのような結果をもたらしたかを大づかみに把握することが肝要なのである。本書では、日中両国の戦略の質的な違いをより明確にし、この戦争の構造を正確に理解するため、殲滅戦と消耗戦という二つの概念を対比させてみていくことにしたい。一般に戦争とは、短期的な決戦を目指す殲滅戦略による戦争と、長期的な持久戦をめざす消耗戦略による戦争の二類型に分類される。そして日中戦争とは、日本殲滅戦略と、中国の消耗戦略の激突であったとみるのが本書の視点である。長期的な戦いという意味ででは総力戦と消耗戦は重なる部分が多いが、「殲滅戦」対「消耗戦」という対立軸を作ってみていくことで、この戦争の様相と、両国の勝因と敗因がよりくっきり浮かび上がってくるのではないかと考えている。

そのうえで本書では、二つの戦争の根底にある二つのパワーについてもふみこんでいきたい。殲滅戦を支える原動力は、その国の軍事力や産業力などの、いわばハードパワーである。一方、消耗戦の場合は、政治力や外交力、更には国家の文化的な魅力を含むソフトパワーによる戦いとなる。日中戦争とはも究極的にはこの二つのパワーの相克であったと、みる視点を持つことで、この戦争の本質のみならず、日中両国の現在なお変わらない国家的な性格までをも見通すことができるのではないかと考えている。

もう一つは『関東憲兵隊通信検閲月報』という資料である。

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