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2011年11月13日 (日)

瀧本哲史「僕は君たちに武器を配りたい」(2)

第2章 「本物の資本主義」が日本にやってきた

戦後の日本は奇跡の復興とも呼ばれた経済成長を遂げた。そのころの日本企業を支えてきたのは、いわゆる「護送船団方式」と言われる政府の手厚い保護政策であった。事業の許認可や輸入品に対する厳しい規制を設けることで新規参入を妨げ、競争はあってもそれに敗れた大手企業からできるだけ落伍者を出さないよう、あらゆる分野で政府がコントロールしていた。しかし、1990年代のバブル崩壊と時を同じくして終焉する。経済のグローバル化に伴って規制で守られてきた産業は次々に競争力を失い、また、中国や台湾、シンガポールなどをはじめとした新興国の産業化が次々に進み、安い労働力で日本の産業から仕事を奪っていくようになった。世界中の人々と市場で競争を迫られる「本物の資本主義」の社会へと否応なく足を踏み出さねばならなくなったのが現在の日本なのだ。

国内需要の低迷で何とかしなければならなくなったとき、全社一丸となって踏ん張ればまた上向くということは、もはや絶対に期待できない。部品メーカーも販売店もしのぎを削って、より効率を高めた企業がそうでない企業を呑み込んでいく、あるいは日本から海外への進出に対応できた事業者だけが生き残っていく、そういう時代なのだ。資本主義を支える根本的な原理が「より良いものが、より多く欲しい」「同じものなら、安いものの方がいい」という、人間の普遍的な欲望に基づいているからである。

現代の日本の産業界で労働者の賃金が下がってきているのは、産業界が派遣という働き方を導入したのが本質的な原因ではなく、技術革新が進んだことが本当の理由だからだ。自動車産業に代表される工場のラインがオートメーション化され、コモディテイ化した労働者がそこに入っても、高品質の製品が作れるようになったことが、賃金下落の本当の原因なのである。つまり、賃金下落は産業の発展段階の問題なのである。産業の成熟化が進み、熟練労働者が必要なくなれば、労働者は必然的に買い叩かれる存在となってしまうのである。

日本経済が疲弊化していった理由はほかにもある。国レベルで見ても、日本のビジネスモデルというのは、すでに陳腐化している。かつて日本が強かったのは「摺り合わせ製造業」という分野だった。しかし、時代が変わり、すさまじい工作機械の進歩により、中国では人海戦術で多品種の製品を作るようになり、差をつけることが難しくなってしまったのである。現在でも日本の企業の作る品質は高い。しかし、中国の企業の製品の品質との差は微妙で、ユーザーにとっては殆ど関係がない。ユーザーにとっては「分らない差異は、差異ではない」のである。それより、色やデザイン、価格といったはっきり自分でわかる差異の方が大事なのである。

待っていても状況は悪くなる一方なのだ。今後は、個人レベルでビジネスモデルを変える、または新たなビジネスモデルを作り出す、ということに挑戦しなければ、多くのビジネスマンが生き残ることができなくなっていく。

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