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2011年11月19日 (土)

あるIR担当者の雑感(54)~単元未満株、本気でやってるのか?

以前にも紹介したことがありますが、株懇といって上場企業の株主総会や会社法の担当者が集まり勉強会や情報交換、法改正の際に法務省に実務面での指針を示すようなことをやっている団体があって、11月の勉強会での話です。出席しているのは様々な業種の上場会社の担当者40名ほど、今月のテーマの所有株式が単元未満のために株主が証券会社の口座に登録していないで発行会社が管理している特別口座株式です。この中には、株主の所在不明となっている株式も含まれています。企業にとっては特別口座の管理料金を負担しなければならず、また株主の所在が不明となっている株式は実質的な休眠状態にあり、これが復活すれば株式の流動性に寄与する可能性があります。とくに、歴史の古い企業では所在不明の株主が多く一万人を超えるケースもあるようです。近年の法改正で、一定の条件を満たした株主の所在不明な株式を企業が一方的に買い取ることが可能となりました。このような状況で、「このような株式にどう対処するか」をテーマとして扱ったわけです。

出席した各企業の担当者から発言がありましたが、その内容は、ほぼ一律で、単元未満株式を企業に対して買取請求等の手続きをお願いするリーフレットを株主通信に同封して送る。というものでした。そのバリエーションとして、株主通信に同封すると見てくれないので、リーフレットだけ別にして送付する。リーフレットに手続き書類や返信用の封筒を同封する。などで、その結果もほとんど一様で、最初に送付した時は多少の効果があったが、2回目以降は効果が目に見えて落ちた。その後どうしたか、というと、これまたほとんど一律で、リーフレットを相変わらず送付する。せいぜいが、リーフレットのレイアウトとか書類をつけるとか末端のどうでもいいような工夫をして、効果がないということでした。

皆さん、一流企業の社員で立派な学校を出て、真面目に取り組んでいるようなのですが、私個人は、その場で、呆れていました。その場、それはおかしいのではないかと、言うべきだったのでしょうが、その時の雰囲気は、本当に皆、真面目だったので、口を出す勇気がありませんでした。

というのも、多分、各会社とも、ここで話しているような株式を減らしたいということだと思います。こう言う場合、普通は、まず、どれだけ減らすか、あるいは減らせるかという目標を立てて、そのためにどうするかと対策を立てていきます。できなければ、どうしてできないか、方法が間違っていれば、違う方法を探す等して、目標達成に向かうはずです。営業等は常にそうしているはずです。ここでの発表のように、漫然とやっていて、しかも一回効果がなかった方法を性懲りもなく繰り返して、それでしょうがないと平気でいる。こういうのを、例えば、営業の人から見れば、本気を疑われることになると思います。

仮に、その対象となっている株式はどういう人たちなのか、そのことくらいは調べることから始めないと、それによって、一律ではなくて対象別の数通りの方法が出てくるはずです。例えば、対象となっている株主の中に社員がいれば、直接、電話でもメールでも依頼ができるはずです。また、社員のOBならば人事部と協力して連絡をとれる。そのような人たちは、連絡さえ取れれば、すぐに手続きをしてくれるはずです。後は、人海戦術で、株主一人ひとりに電話をかけてみる。このようなひと手間をかけることを、何故やろうとしないか。リーフレットを送るというのは、机に座って、パソコンを叩き、エージェントに依頼することだけでできることです。メンバーの中にはそのような枠の中で考え、活動することが仕事という前提があるようでした。中には、自分の会社では、このようなこと以上に重要な問題があって、こんなことは後回しでいいと考え放ってあるという発言があってもいいと思うのです。そういう判断も、担当者として、しない、できない、というのを目の当たりにして、とても寂しい気持ちになりました。

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