高橋洋子「HARMONIUM」
1999年発表のこのアルバムでは、大貫妙子に似た声質でさらに強調され、曲調も良く似たものが目立つようになってきている。アレンジが、シンセを重ねた重厚でシンフォニックなものなって、それに対抗するように少し声のテンションが高めになっているので、軽く聞き流すというはないかもしれない。聴いていて、耳に抵抗感がなく、すっと入ってくる感じが癒し系とも言えなくもない。クラシックの「パッフェルベルのカノン」に歌詞をつけた「LET ME HEAR YPUR VOICE」やアカペラコーラスをバックに歌う「HARMONY」などボーカルとしての実力は圧倒的だが、終盤の5曲ほどでしっとりと穏やかなナンバーが続くのに、聴き手を飽きさせず、しかもじわじわと聴き手に迫ってくるような説得力は圧巻。知らず知らず、全曲を聴き通した後、リピートして最初から繰り返し聞きたくなる。そうすると、最後の曲と最初の曲が通して聴けるような統一感あるアレンジになっているのが分る。この時代、これだけ穏やかなアルバムが作られ存在したのが奇跡のような作品。
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