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2012年2月28日 (火)

没後25年 有元利夫展「天空の音楽」(1)

Arimototenji 2010年の8月の終わり、残暑のつづく暑い日だった。たまたま、午後都心のセミナーが早く終わり、時間が出来たので庭園美術館に出かけることにした。有元利夫については、バロック音楽のCDジャケットで使われていたので、どのような絵なのかのイメージはある程度できており、数年前の東京駅のステーションギャラリーでの展覧会を見逃したしまったこともあって、興味はずっと持ち続けていた。時刻の上では夕刻というのに日中と変わらぬ炎天下、地下鉄の駅から美術館までの道は長く感じられ、数分歩いたと言うだけなのに汗ばむという形容をこえて、美術館に入った時はとにかく空調の利いた冷たい空気に触れてほっとしたのだった。

表通りの喧噪と暑さとは正反対の、ひんやりした空気の漂う静謐な空間に、その作品はとても似合っているような感じがした。平日の夕方で、しかも、このような酷暑とも言えるのに、館内はそれなりに入館者が多かったようだが、それぞれがひっそりとした雰囲気を大切にしているようで、有元の作品とそれを大切にしているファンが館内の空気を作っているような感じだった。

有元の作品は、展覧会のポスターにあるような丸顔の小さな顔の人物が、その頭部と比べ不相応なほど大きな肩と腕を要したずんぐりむっくりの大きな胴体の半身(たまに全身)がポーズとも言えないポーズで、背景は往々にして省略されているか象徴的な単純化されたものが置かれているところで、たいてい1人立っているという絵です。しかも、ほとんどの場合、顔の表情は喜怒哀楽を感じさせることない、良く言えば穏やかな表情の人物です。その色彩はくすんだ独特といえるもので、図案化されたような画面と、その色彩とで有元の作品は、見ればすぐそれとわかるものです。

展覧会のポスターもそのひとつでしょう。一見しての感想としては、単純とか素朴で、感情や理念を強く自己主張するというのではなく、慎ましやかに観るものを慰めるというのでしょうか。画家本人がバロック音楽が好きで、自らも楽器をとるとかピエロ・デ・ラ・フランチェスカのような中世からルネサンス初期の画家への志向を自ら語っているように、ヨーロッパの中世の修道院のような信仰と勤行に勤しむような姿でしょうか。展覧会カタログや展覧会の印象が感想が各処で書かれているのを読むと、だいたいそんなような捉われ方をしているようです。

ただ、私の場合、何が書かれているか、というよりはどのように書かれているかのほうに、より興味があって、そういう書かれ方をするから、こういうもの(題材を含めて)を描いているのかといったストーリーを楽しむということをしているので、そういう印象をもたらす仕掛けのようなことを詮索するのが好きなので、これから、展示されていた作品をネタにして、独断と偏見によるストーリーを紡いでみようと思います。

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