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2012年3月 8日 (木)

ウォーレン・バフェットからの手紙 2011(3)

いいお話は、これで全部です。これからは2011年の我々にとって痛かった、いくつかの事業についてお話しします。

      数年前、私はテキサスの数か所で電気事業を営むエナジー・フューチャー・ホールディングスの新規社債を20億ドルで購入しました。それは間違い、いや大間違いでした。長い目で見れば、この会社の見通しは天然ガスの価格と緊密に結びついています。しかし、天然ガスの価格は、我々が購入した直後に落ち込み、その後下がり続けています。この社債を購入して以来、我々は毎年1億200万ドルの利払いを受けていますが、天然ガスの価格が大幅に上昇しない限り、この会社の支払い能力は消耗し尽くしてしまうでしょう。我々は、2010年に10億ドル、昨年に追加の3億9000万ドルを帳簿の投資勘定から減少させました。

年末において、我々の所有する債券は市場価格で8億7800万ドルになっていました。天然ガスの価格が現在の水準を維持するならば、おそらく、我々は現在の繰越価格を一掃してしまうほどの一層の損失に直面せざるを得ないでしょう。反対に、天然ガスの価格が大きく増加すれば、これまでの評価減による損失のいくつか、あるいは全部を取り返すことができるでしょう。しかしながら、事態は展開します。私が債権を購入した時に、収支可能性の全くの誤算でした。テニス用語で、これはアンフォースド・エラー(自発的なミス)です。

      2011年に、3件の大規模で、非常に魅力的な確定利付き債権を発行しました。スイスRe、ゴールドマン・サックス、ゼネラル・エレクトリック社は総額で我々に128億ドルを、バークシャーのおよそ12億ドルの税引き前利益を産み出す債券を取り戻すために、支払ってくれました。その資金により、我々はリーブリゾールを買収できましたが、その収入によりこの損失を取り返すものです。

      昨年、私は皆さんに「住宅産業の復興はだいたい1年以内に始まるでしょう」とお話ししましたが、まったくの誤りでした。我々には、住宅産業の動向に大きく影響されるビジネスが5つあります。クレイトンホームズは国内最大の住宅生産メーカーで、2011年の生産のおよそ7%が直接、その影響を受けました。

さらに、エイコム・ブリック(れんが)、ショー(カーペット)、ジョーンズ・マンヴィル(断熱材)、マイテック(建材、主として屋根を付けるのに使用されるコネクタ・プレート)は全て、建築業界の動向に影響を受けます。全体で、我々の住宅関連の5社は、2011年に5億1300万ドルの税引き前利益がありました。これは2010年とほぼ同じですが、2006年に比べると18億ドルのダウンです。

住宅業界が復活することは確かです。時の経過と共に、世紀の水準の空き家を考慮した住宅数は世帯数に必ず近づいてきます。しかしながら、2008年以前の数年間は、アメリカでは世帯数より多くの住宅を建設しました。必然的に、我々は多すぎる住宅ユニットを抱え、全経済を揺るがす暴力的な振動により泡と消えました。それは、住宅に対して新たな問題を引き起こしました。不況のはじめは世帯形成のスピードが遅くなり、2009年には劇的に減少したのです。

この破壊的な需給率は現在は逆転しました。毎日、住宅ユニットより多くの世帯が産み出されています。人々は、不確かな時代の間、人々は世帯をつくることを先送りしますが、結局、ホルモン(志向性)は引き継ぐのです。そして、同居は不況に対しての当初の反応であるでしょうが、姻戚と同居することはすぐに、それが嫌になってくるものです。

60万個という現在の年間住宅着工数は、新たに生み出されている世帯の数よりかなり少なく、住宅の買い手や借り手は古い売れ残りにまで吸い寄せられています。(このようなプロセスは国内のそれぞれの状況に合わせて自然と進むでしょう。需給関係はそれぞれの地方に大きくバラつきます。)しかしながら、回復は始まっていますが、我々の住宅関連の会社は2006年の58,769人に比べて僅か43,315人しか雇用しておらず、悲鳴が上がっています。このような経済の重要なセクターは、建築だけでなくその関連業界も含めて、落ち込んだ状態のままです。私は、このことが、経済の他の分野での安定と相当程度の回復が見られるのに比べて、雇用の回復がひどく遅れた理由であると信じています。

賢明な財政・金融政策は不況対策として重要な役割を果たしますが、このようなツールでは世帯の形成には役立たないし、作り過ぎた住宅を処分するものではありません。幸いにも、人口統計と市場は、おそらくずっと前から、必要とされる需給バランスを回復させるでしょう。その日が来れば、我々は再び毎年100万ユニット以上の住宅を建設するでしょう。私は、一旦それが起こると専門家が驚くほど失業率が一気に下がると信じています。彼らは、1776年以来真実だったことに、再び気づくでしょう。アメリカの全体時代は、もう目の前です。

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