ウォーレン・バフェットからの手紙 2011(9)
製造、サービスと小売活動
バークシャーのこの我々の事業は水際までカバーしています。グループ全体の要約貸借対照表と損益計算書から見ていきましょう。(貸借対照表と損益計算書は省略)
このグループの会社は、アイスキャンディーから飛行機までわたる製品を販売します。このビジネスの中には、レバレッジをかけない正味固定資産に対する収益によって測定された(つまりROE)、税引き後利益で25%から100%以上の素晴らしい経済的成果をあげているも会社が数社あります。他の会社は12~20%という範囲の好成績をあげています。しかしながら、わずかな会社は、私が主な仕事である資本の分配で重大な間違いを犯した結果、非常に貧しいリターンしか上げられませんでした。ビジネスの競争力や業界の将来の経済状態に対する判断を誤った結果が、この過ちでした。私は買収をしようとする時、10年または20年先を見渡そうとしますが、時に私の視力が届かないことがあります。しかし、チャーリーよりはましかもしれません。彼は私の誤った買収に対して「プレゼント」と評しました。
バークシャーの新しい株主は、私の誤りにしがみ付いているような我々の判断に戸惑うかもしれません。結局、それらの会社の収益はバークシャーの評価価格にとってそれほど重大ではなく、問題ある会社は勝ち組の会社より経営に時間を要します。経営コンサルタントやウォール街のアドバイザーは、皆、我々ののろまな様を見て、「そんなもの放り出しちまえ」と言うでしょう。
そんなことは起こりませんが。29年間、我々はこのレポートでは93~98ページでバークシャーの経営方針を必ず定位置として載せていますし、11号では不十分な販売実績で一般的には話したくないことを説明しています。ほとんどの場合、経営上の誤りというより業界の環境によるものなのですが。我々のアプローチは進化論的ではありません、皆さんの多くは、これに納得なさらないかもしれません。私は、皆さんの立場はよく分かります。しかしながら、我々は買収したビジネスの販売員への参加をそのビジネスが存続するために時には厚く、時には薄く、行うし、行い続けていきます。今までのところ、その参加のドルコストはそれほど沢山ではなく、販売員たちが仕事を大切に思い、仲間に忠実で会社を正当で長続きさせようと努力を続ければ将来的に信頼を勝ち取ることになって、それまでのコストは成果となって相殺されることになるでしょう。これら会社のオーナーは、我々とともに何を得ようとしているか、それが他とではできないことで、我々の参加がこれから何十年も有効であることを、知っています。
しかしながら、チャーリーも私も、マゾヒストではなく極端なくらいの楽天家であることを分って頂きたいと思います。もし、我々がルール11で述べた欠点が存在し、ビジネスが長期的に現金損失を垂れ流し、労働争議が慢性的になるようならば、迅速で決定的な行動を起こすでしょう。そのような状況は、我々の47年の歴史の中で2回だけありました。そして、我々が現在所有しているビジネスについては、その処分を迫られているような窮地にあるようなものはありません。
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2009年中頃から米国経済は安定的でかなりのところまで回復してきましたが、これはこのセクションの冒頭で示された収益からも明らかです。この集計には我々の54の会社が含まれています。しかし、これらのうちの1社、マルモンは、自身が11の異なる部門の140のビジネスのオーナーです。要するに、バークシャーを見るとアメリカの企業全体を見渡すことができるのです。それで、過去数年に発生したことをより深く洞察するために、少し深く掘り下げてみましょう。
この部門(クレイトンは金融と金融商品に入るので除外する)の住宅関連の4社は、合計で2009年に2億2700万ドル、2010年に3億6200万ドル、2011年に3億5900万ドルの税引き前利益をあげていました。合計の決算の利益合計からこれらを差し引くと、我々の複数で様々な住宅関連以外の活動が2009年に18億3100万ドル、2010年に39億1200万ドル、2011年に46億7800万ドルの利益を上げているのが分かります。2011年の利益のうち約2億9100万ドルはリーブゾールの買収によるものです。2011年の残りの利益の43億8700万ドルは、2008年の金融恐慌によって引き起こされた荒廃からの立ち直りのあらわれです。住宅関連のビジネスは未だ非常事態のままですが、それ以外のビジネスは健全な状態に戻りました。
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