ウォーレン・バフェットからの手紙 2011(15)
・ 投資の第2の主要なカテゴリーは、決して何も産み出すことはありませんが、その資産が何も産みださないことを知っている他の人々が、将来にはそれらにより多くの金を払うことを期待する買い手によって購入される資産が含まれます。チューリップは、こともあろうに、ごく短い間、17世紀のそのような買い手のお気に入りになりました。
このタイプの投資は買い手に掛け金をどんどん増やしていくことを要求します。そして、買い手は将来にされに購入するための掛け金がさらに高くなっていくと信じているので、誘惑に負けてしまうのです。所有者は資産が死んだままであるので、産み出すもの自体から利益を受けることはなく、むしろ他人が将来において、それが増えていることを熱心に望むことによって、利益を得るのです。
このカテゴリーにおける主要な資産は金で、現在、他のほとんどの資産、とくに紙幣を恐れる投資家の大きなお気に入りです。しかし、金には2つの明らかな欠点があります。それはほとんど使用されることもなく何も産みださないということです。真実、金にはいくつかの工業的な装飾向けのユーテリティがありますが、これらの目的の需要は限られ新たな産業を吸収することはできません。その間、1オンスの金を所有ずっとしていても、それは最後まで1オンスの金のままです。
ほとんどの金の購入者を動機付けるのは、恐ろしさのランクが上がっていくという信念です。過去10年間には、この信念の正しさが証明されました。この値上がりを自らの投資への考え方を追認するものと見る購入者を惹きつけたことによって、高い価格はそのこと自体によりさらなる購入の熱意を産み出しました。「時流」投資家はあらゆる集まりに加わり、自身の価値を作っていきました、当分の間。
過去15年間、インターネット銘柄と住宅は価格が上昇していることを上手にPRされ、当初は分別のあった理論と結びつくことによって、並外れた不節制が作られることを明らかにしてみせました。このようなバブル状況で、当初懐疑的だった投資家の軍隊はマーケットによって届けられた「証明」に屈しました。そして、しばらく買い手の掛け金は時流が回り続けることができるくらい拡大しました。しかし、バブルは大きく膨らめば、必然的に破裂します。そしてその時、旧い諺が再確認されます。「賢明なものは最初に行い、愚か者は最後に行う」
現在、世界中の金保有高は約17万メートルトンです。この金のすべてを一緒にしたら、側面あたり68フィートの立方体を作ることができるでしょう。ちょうど野球場の内野のフィールドに余裕を持って収まるくらいです。1オンスにつき1,750ドル、私が書いたのは金の価格です。合計で9兆6000億ドルです。この立方体を体積Aと呼びましょう。
さて、同額の体積Bを作りましょう。それで、我々は全てのアメリカ耕地(毎年約2,000億ドルを産み出す4億エーカー)とエクソンモービルを16個(世界で最も利益を上げている会社で、毎年400億ドル以上稼いでいる)を買うことができます。この購買の後でも、我々は約1兆ドルの小遣い銭を残すでしょう。9兆6,000億ドルで体積B以上に体積Aを選ぶ投資家を想像できるでしょうか。
既存の金のたくわえに与えられる驚異的な評価額を越えて、時価は金の年間生産を売値で約1,600億ドルにします。買い手は、宝石や産業上のユーザー、怯えた個人、投機家であることにかわらず、現在の価格を維持するためだけのために、このさらなる供給を常に吸収なければなりません。
現在の4億エーカーの耕地からは驚くほどのトウモロコシ、小麦、綿、その他の収穫を産み出すでしょう。そして、通貨が何であっても貴重な恵みを産み出し続けるでしょう。エクソンモービルは、おそらく、その所有者に配当を何兆ドルも行い、何兆ドルも資産を増やしていくでしょう。170,000トンの金はサイズは同じで何も産みません。立方体を撫でまわしても、何も出てこないのです。
明らかに、現在から1世紀の人々は怖れる時に、多くが金に走ることがありそうです。しかし、私は確信しています。9兆6,000億ドルの体積Aの現在の評価が体積Bによって達成された遥かに劣ったレートになってしまうことを。
・ これまで説明した2つのカテゴリーは恐怖感のピークで最大支持率となります。経済の崩壊に対する恐怖は個人を通貨ベースの資産、特に米国債に追いやります。そして、通貨崩壊の恐れは金のような何も産みださない資産へと促します。我々は2008年後半に、ちょうど現金が手元におかれず流通しなければならない時に、「現金は王様だ」という声を聞きました。同様に1980年代初めに、ちょうど固定ドル投資が記憶のある限り最も魅力的である時に、「現金はゴミだ」という声を聞きました。それらの出来事で、周りの人々に追随する投資家は、心からその快適さに対する代償を支払うことになりました。
私自身の選択は、これから話すことは皆さん既にご存知のことと思いますが、第三のカテゴリーです。つまり、ビジネス、農場、不動産のどれでも生産的な資産への投資です。理想としては、これらの資産には、インフレの時に新たな最低限の設備投資を必要としている間の購買力価値を維持するアウトプットを産み出す力がなくてはなりません。農場、不動産そして多くのビジネスは、コカコーラ、IBM、そして我々が所有するシーズ・キャンディのように二連のテストに応じています。他の特定の会社、例えば、我々の規制されたユーティリティについて考えてみて下さい、インフレが重い資金需要を課すので、それに失敗してしまいます。より多く稼ぐために、その所有者はより多く投資しなければなりません。それでも、これらの投資は非生産的であるか通貨ベースの資産よりも優れているのです。
今から1世紀には金、貝、サメの歯、現在のような紙幣のいずれかに基づいているかに関わらず、人々はコカコーラや何個かのシーズピーナッツのために毎日の労働の2分間を交換してもいいと思うでしょう。将来の弁国の人口は、現在必要とするより多くの商品を動かして、より多くの食品を平らげ、より多くの住宅面積を必要とするでしょう。人々は、いつまでも、他の人が生産するものと自分が生産するものを交換するでしょう。
我が国のビジネスは、効率的に市民が欲しがっている商品とサービスを供給し続けるでしょう。比喩的に、これらのような商業的な「牛」は、この後何世紀も生きて、より多くの「ミルク」を与えるでしょう。それらの価値は、交換手段によってではなくて、「ミルク」を供給する能力によって測られるのです。ミルクの販売からの利益は牛の所有者の資産に加えられます。ダウが66から11,497まで上がった(配当の負荷を支払った後で)20世紀の間、そうであったように。バークシャーのゴールは一流のビジネスの所有分を増やすことで。我々の最初の選択はこれら全体を所有することですが、かなり大きな額の市場流通株の保有を通してそうなることです。私は、どんな長期間にわたっても、投資のこのカテゴリーがご説明した3つのカテゴリーの勝者となることが明らかだと信じています。最も重要で、最も安全です。
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