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2012年3月12日 (月)

ウォーレン・バフェットからの手紙 2011(6)

さて、我々の活動の4つの主要なセクターを説明しましょう。それぞれが、他とは非常に異なる貸借対照表と収益の特徴があります。それゆえ、それらを一緒くたにすると、分析しにくくなります。それで、チャーリーと私が見ているように、その4つを別々のビジネスとして説明します。我々は、皆さんの一部から自己株式を買い戻しているので、それぞれのセクションで本質価値が繰越価値に比べてどの程度なのかについての考えを明らかにします。

保険業

最初に、長年にわたってバークシャーの中心的な活動で我々の事業拡大を推進してきた保険業について、見ていきましょう。

損害保険(P/C)は前払いのプレミアムを受け取り、後で請求に対する支払いを行います。極端な場合、特定の労災補償事故のような場合は、支払いが数十年間延びることがあります。このような、今現金を受け取り、支払いは後になるモデルでは、我々の手元に多額の「フロート」と呼ばれる現金が据え置かれることになります。最終的には、そのお金は我々の手元を離れることになるのですが。一方、我々がこのフロートを投資に振り向けることで、バークシャーは利益を得ることができます。ここの方針や主張は行ったり来たりしますが、我々が抱えるフロートの総額はプレミアムボリュームに関して安定しています。その結果、我々のビジネスは、フロートに応じて成長しました。我々がいかに成長したかは、下に表しています。

我々のフロートが現在のレベルから、これ以上大きく成長することはありそうもないでしょう。それは、主に我々がプレミアムボリュームに比例した、かなりの額が既にあるからです。フロートの減少があるだろうと付け加えましょう。それは、間違いなく段階的で、それゆえ我々にとくに通常とは違った支払を要求しないでしょう。

プレミアムが我々の費用と最終的な損失の合計を上回っていれば、フロートが産み出す投資収益を加え、我々は引受業務利益を計上します。このような利益が産み出されるとき、我々は自由なお金の運用を喜びます。さらにこれを増やしながら、後の支払いを待ちます。残念なことに、このような幸福な結果を成し遂げたといいう保険業者の願望は、激しい競争を引き起こします。大きな引受業務損失を起こす損害保険会社があるため、ほとんどの年に競争は活発です。例えば、スティトファームは、わが国最大の保険業者であり経営があまり良好でない会社ですが、この11年のうち8年は引受業務損失をまねきました。保険でお金を失うにはたくさんの道があり、保険会社は新しいものを作り出す才能に長けています。

この報告書の最初のセクションに見られるように、我々は9年連続で引受業務利益を上げてきて、この期間の利益の合計は170億ドルにも達しました。確かにすべてではありませんが、我々は、これからも、ほとんどの年に収益を上げ続けるだろうと信じています。我々が達成できたしたら、それは我々のフロートがコストゼロよりもむしろ収益を産み出し続けるからです。ある人々が我々に706億ドルを預け、その料金を払い、我々に自信の利益に投資されるように、我々は利益を稼ぎました。

それで、この魅力的なフロートはどのような我々の本質価値の計算に影響するのか?我々のフロートはバークシャーの帳簿価格を計算する際には負債として完全に差し引かれます。ちょうどそれは、我々が明日払わなければならなくて、それを補充するものがない時のように。しかし、それはフロートを表示するには誤った方法で、代わりに回転資金として見られるべきです。フロートがコストを産まず、長く存続するならば、この負債の正しい価値は会計上の価値よりはるかに低いです。

この誇張された負債を部分的に相殺するのは、資産として帳簿価格に含まれる保険会社に対する好意に起因する155億ドルです。実質的に、この好意は我々の保険業務でフロートを産み出す能力の価格を意味します。しかしながら、好意の費用は本質的価値とは関係がありません。もし、保険ビジネスが大規模で持続的な引受業務損失を生み出してしまうのならば、それに起因する好意資産は、当初の導入コストがどれだけかかっていても、意味がないと考えざるを得ません。

幸いにも、バークシャーはそうではありません。チャーリーも私も、我々の保険業務の好意の本当の経済的価値は、同様の品質のフロートを購入することで測ることができますが、歴史的な繰越価値を越えていると信じています。我々のフロートの価値というのは、バークシャーの保険ビジネスの本質的価値が帳簿価格を大幅に上回ると信じている理由です。

無料のフロートが、P/C事業全体のために期待される結果ではないことを、もう一度強調させて下さい。我々は、保険の世界で多額のバークシャー品質のフロートがあるとは思っていません。2011年を含むほとんどの年で、産業プレミアムは保険請求を賄うには不十分でした。従って、具体的な資産による産業界の収益は、長年にわたり、アメリカの産業全体の平均的な収益に遥かに及びませんでした。我々には保険ビジネスにおいて驚異的な業績をあげている傑出したマネージャーがいるため、バークシャーは顕著な結果を残しています。皆さんに、その主要なユニットについて説明させて下さい。

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