あるIR担当者の雑感(66)~今日は説明会でした!
今日、決算説明会がありました。ここ数日更新ができなかったのは、その準備で心の余裕がなくてのことです。しかし、とにかく終わりました。反省点が多々あったと思いますが。今の時点では、とにかく終わったという、ただそれだけです。表面上の目立つトラブルはなかった。日ごろ、アグレッシブな意見を開帳していますが、実際には、とにかく無事におわると、それだけで、ほっとしてしまう自分がいました。
今回は、中期3ヵ年の経営計画の節目の年となるので、当然、説明会ではその説明も行いました。通常の説明会では決算と今後の展望だけでも手一杯に近いところで、中期計画の説明ともなると、例年の倍の負担、いやそれ以上でした。中期計画など3年に1度です。しかも前は3年前です。だから新たなことを始めるようなものです。しかも、以前にも書きましたが、私の勤め先のような中小企業では、社内ではだいたい意識が共有されているので、敢えて言葉にしなくてもいいことがたくさんあり、極端なことを言うと中期計画など目標数字だけを掲げれば、それで通ってしまうのでした。それを社外のアナリストや市場関係者に理解してもらうため、ロジカルに翻訳するのは、計画を作るようなものでした。しかも、いまのような環境の変化が著しいとき、実は安定した環境で通用してきた常識が通用しなくなってきています。だから、これまでのような3か年計画のままでいいのか、という問題意識もありました。外部の人間にも理解できるように、と言いながら、実はその中で、そういうものも織り込んで、小さくてもいいから徐々に経営に変化への道をつけたかった、ということもありました。公報などと言われ、会社を外部に開示するという日本的なIRとは逆方向の、経営にインパクトあるいはプレッシャーを与えられないかというIRへの試行錯誤です。結果は、どうか分かりません。しかし、このような考えで準備を進めたため、遅々として進まず、負担は倍以上となりました。
今日の会場では、このところ出席してくれているアナリストの人たちが来てくださって、数回続けて出席してくれてました。本当に感謝です。そして、以前、ワンオンワンミーティングお尋ねした機関投資家の方も、数年間興味をもってくれていたようで、今日はわざわざ来てくれて、会場で声をかけるくれると、本当に担当者冥利というのか、うれしいものです。そういう方々がいらっしゃると、会場の緊張感が違ってくるのが、本当に実感できました。
質問が少なかったのは残念でしたが、作成し配布した資料のページ数を指定して、それを基に質問してもらえたのは、今回初めてで、そこまで資料を読み込んで、ツッコミ(失礼!)を入れてもらえたことに、資料を作った者として、すごく緊張しました。きっと、次回から資料を作るときの緊張感が違ってくると思います。そこまで、読まれたら、絶対に手を抜けなくなります。それと、経営目標の数字について根拠を聞かれた質問が鋭いもので、これだけ深読みされると、これからは生半可な精度の数字は出せなくなるというものでした。たぶん、有名企業では、毎回そういう厳しい質問が繰り返されるのでしょうから、それを経験するだけでも、IR担当者だけにとどまらず、経営者にとっても大いなる機会だと思います。今回の説明会で、その一端に触れられたような気がしました。現時点では感触のようなもので漠然としていますが、そういう初めての厳しさを体験できたように思います。
この後、出席された方々から説明会や内容(会社の経営)についての感想や意見を聞くのが楽しみです。直接会社の人間が聞くと、出席された方も話しにくいので、支援会社の人に聞いてもらっていますが。その直截的な意見や、鋭い指摘が寄せられて毎回堪えます。というと失礼ですが、中にはかなり厳しい指摘もしてくれるので、正直落ち込むこともありますが、冷静に考えると至極尤もな指摘なので、参考にせざるをえなくなるのです。これは、直接経営者にも伝えますが、戦戦兢兢としながらも楽しみにしているようです。
現時点では、良かったとも、悪かったとも、評価はできませんが。とりあえず、終わった今日ぐらいは、終わったと言うことだけで、自分を褒めて慰めて、盛り上げてもよいのではないか、とかなり手前味噌なことを書き連ねました。
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