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2012年8月11日 (土)

あるIR担当者の雑感(78)~個人投資家向け説明会の試み(2)

前回は、私の勤め先で個人投資家向け説明会を計画していて、そのプランの骨子について考えていることを少し書きました。まず、説明会そのものは機関投資家やアナリストに対して実施している決算説明会と変わらないものにすることにして、個人投資家を多数集めて会社の紹介を行うようなものとは一線を画す、ということを述べました。それは、機関投資家やアナリスト等のプロと個人投資家をアマチュアとして区別しないということを、まず前提にする。その具体的な現れとして、プロを相手にするのと同じように定期的に説明会を継続して開く。説明する内容のレベルはプロ向けと同じレベルを保つというものでした。ただし、ここで誤解しないでほしいのは、説明レベルを同じ水準にすることと同じ説明であることは等号ではありません。プロ向け投資家と同じことを個人投資家向けに行うということではなく、説明のやり方は異なってくることになるでしょう。個人投資家に対しては説明の内容は落とさないが、説明は分かり易いことを旨とすることになるでしょう。

今回は、説明会は関係づくりのスタート地点という前提について考えてみたいと思います。一般的な個人投資家向け説明会でも同じようなことが言われていると思います。しかし、実際には説明会に来てもらって、それで終わりというケースがほとんどと聞いています。せいぜいが後で礼状が来たとか、1度株主通信が送られてきたというのがせいぜいでしょうか。それは、すごく勿体ないと思います。説明会を定期的に継続して開くのは、そこにも理由があります。年に1回でも2回でも定期的に説明会を開いていれば、最低限、1度説明会に出席した人が。次にもまた出席する口実ができます。単発の説明会ではないので、毎回同じ話であることはあり得ない。その事業年度の説明がまず考えられるのですから、毎回違う話が聞けることになります。そうやって、繰り返し説明会に出席できる機会を作り、毎回違った話を聞いていれば、自然と会社に対する理解は進み、また何度も目にすれば会社の経営者や担当者の顔も覚えてしまうので、会社が具体的に人の顔を持ったものとして見えてくるでしょう。これは、単発の説明会を何度も行っても難しいのではないかと思います。

しかし、そう上手くいくとは限らない、そういう反論が聞こえてきそうです。たしかにそうなのです。1度説明会に来た個人投資家が、次回また来るとは限らいないのです。だから、説明会のリピーターをいかに作るかが重要なポイントになると思います。その会社が投資先として有望であっても、説明会には何度も来るとは限らないでしょうが、この会社がこれからどうなっていくか見守ってみたいというような気持ちになってもらう、あるいは会社に対して親近感を持ってもらうことが大事なのではないかと思います。また、このようなことは人それぞれで違うので、10人の人が来て、次の時にまた10人が来るということは絶対にありえないということなるでしょう。要は、10人の人が来た場合、そのうちの何人が次に来てくれるかというところだと思います。そのために必要なこととして、一番重要なことは、実際に会社がそういう会社であること、そして説明会での説明がそういうものであることです。言うならば、本質的なことです。これは細工が利かず地道な努力しかないので、別の機会に。説明会の方法論として、以下のようなことを考えています。出席する個人投資家には一方的な受け手に納まらずに説明会に参加してもらうようにする。投資家自らが積極的に参加することで会社に対して前向きな姿勢になってもらえる。具体的には説明を一方的に聞くのではなく、質問や意見を発してもらう。つまりは、一方通行になることを極力避け双方向でやり取りができるような説明会にするのです。そのためには、出席人数は少ない人数で始める。一人一人の顔が分かる程度の人数で始める、実際には10人くらいでしょうか。なんだ効率悪いと思われる方もいると思います。一般的な個人投資家説明会なら数百人規模の出席者があるでしょうから。これだと、効率は悪いし、遠回りしているような印象を受けると思います。どちらがいいかというのは単純には決められないと、私は思います。考え方の違いによるのでは。ただ、いままで述べてきた趣旨や、この後の戦略のことを考えると、この人数というのが大きな意味を持ってきます。とにかく、最初は多数の集客を避けるということです。このくらいの人数でなら、説明会というよりはミーティングの規模です。それが狙いなんです。例えば質疑応答は、出席者が100人を超えたような場合には、最初ら説明を一通りおこなってから、後で質疑応答の時間を別に設けて集中的に受け答えをしないと全体の収拾がつかなくなる恐れがあります。これに対して、10人くらいなら、説明の途中で質問があっても十分に受け答えの余裕を持てる。出席した人も、後でまとめて質問するよりも疑問に思った時のすぐ訊く方がききやすいし、疑問もすぐ解けると会社への理解も進むでしょう。そこでやり取りが限られた時間だけでなくて、説明会の時間を通して行われると聞く方も集中度も高くなるし、いつでも聞けるということで、会社に対する距離も気持ちの上で縮まる。質疑が活発になれば、ミーティングのように出席者の参加意識をさらに高めることも可能と思うのです。これには1対1でやるのが一番いいのですが、個人投資家のひとにはその場合の緊張が続かないだろうし、中には質問したくない人もいる、だから10人くらいの人数がちょうどいいと思われるのです。このような双方向性のミーティングにするためには、説明の仕方も考えなければなりません。つまりは、説明が一方的であれば、質問もしにくくなります。そこで、質問を誘発するような説明の仕方も必要と考えます。例えば必要以上の緊張を強いない。参加者に問いかけたり、途中で質問がないか聞いたり、という具合です。

たしかにそうかもしれないが、それはあくまでも企業の側の都合で言っていることであって、当の投資家は来てくれるのか、たとえ来てくれたとしても、双方性とやらに上手く乗って来るのか、という反論があると思います。これについては、次回考えて見たいと思います。

 

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