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2012年10月22日 (月)

松島大輔「空洞化のウソ~日本企業の「現地化」戦略」(3)

5.「空洞化」論が招く未来の空洞化

もし「空洞化」論に実害がなければ、放置しておくことも手でしょう。しかし、問題は「空洞化」論が日本企業、日本人を委縮させてしまっているということです。政策形成や企業のビジネスモデルを見ても、一部にはいまだに国内対策だけを前提に、海外の事業は外付けの余技として考えているふしがあります。他方で、グローバル化した外部の競争環境にあっては、もはや純粋な国内問題さえも国内対策だけでは解決できない。いわば「政策の不完全性定理」とでも形容すべき事態が、「新興アジア」への「現地化」を誘うもう一つの論拠です。

じつは、「現地化」、「新興アジア」への進出こそが、日本が直面する、多くのアポリア(難問)、特に国内問題を解消するための有力な手段である、と聞くと納得できるでしょうか。つまり、「空洞化」論者からみれば極北に位置する「新興アジア」への「現地化」こそが、日本の未来が空洞化するのを防ぎ、日本を救う。例えば、「現地化」して「新興アジア」に生産ネットワークを展開すれば、必ずしも資源、エネルギー、地球環境問題を日本一国の問題として捉える必要はありません。日本を含んだ「新興アジア」全体での資源、エネルギー、温室効果ガス排出のバランスシートの帳尻を合わせればよいでしょう。「新興アジア」に「現地化」した日本企業が、レアアースなどの資源確保の問題について、現地政府の助力を得ながら現地で解決を図るとともに、天然ガスや石炭などの旧来の化石燃料について、日本企業の最先端技術やノウハウを活用し、効率的な活用を進める。その土地に適合的な再生可能エネルギーを模索し、エネルギーの「地産地消」を実現する。このような取り組みを通じて、日本という国土単位の解決から、「新興アジア」大での解決を図るのです。

「新興アジア」における「現地化」の真の目的は、日本企業の再生であり、日本産業の再編であり、経済構造改革という国家改造に逢着します。日本企業のアジア進出という「現地化」。国内の改革と比較して、変革のためのコストが低く、その意味で痛みを伴わないでしょう。つまり、「新興アジア」における「現地化」はプラス・サムの構造改革なのです。日本での複雑怪奇な既得権益システムは、最初から手をつける必要がありません。将来のこの国のかたちを変えていくための方法を調達する、そのような射程を持っています。

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