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2012年12月17日 (月)

河井徳治「スピノザ『エチカ』」(3)

「有限であるということは実はある本性の存在の部分的否定であり、無限であるということはその絶対的肯定であるから、実体たるものはすべて無限でなければならないことが帰結する」。まとめて言えば、知性的にのみ捉えることができる無限性が第一の規定であり、表象的には有限でありながら、知性的にその原因から見ると無限となる無限性が第二規定であり、実体から分離され、数で表現しようとしても無際限としてしか現れない表象上の無限性が第三規定ということになる。だから第二規定は第一規定と第三規定を両義的に含んでいる訳だ。

無限と有限の対比は存在の絶対的肯定と部分的否定の対比と言うことになる。部分的否定は、翻せば部分的肯定である。だから無限なるものが自己展開して、有限な部分に内在していると言ってもかまわない。「同じ本性を有する他のものによって限界づけられうるものは、その類において有限である」しかし、想念と物体の様に異なる類に属すれば、相互に限定し合うことはない。類が異なれば相互の限定はないのである。だから相互に限定し合うということは、同じ一つの類に可分性と多様性を許容し個別化させることになり、それが「有限化」を指すわけだ。しかし想念や物体の持つ本性が無限なるものであれば、一つの円弧に無限が宿るために、有限化した想念や物体それぞれに、その本性に当たる無限性が含まれていても問題はない。部分的に肯定されているからである。さらに、有限なるものについて、本質の原因と存在の原因が別だという考え方提起される。そうすると個々の様態では本質の原因が同じだとしても存在の原因が異なるということが、無限なるものの内在と共に有限なるものの著しい特徴となる。

ところが存在の原因がそのものの本性ないしは定義のうちに含まれて入れば話は別である。「すべて在るものはそれ自身において在るか、それとも他のものにおいて在るかである」続けてスピノザは言う「他によって概念されることができないものは、自らによって概念されねばならない」前者が存在の原因に関して、後者は本質の原因に関して言われている。

自己原因というのは、前者の「それ自身のうちに在り」、後者の「それ自身によって概念されねばならない」ものの存在根拠が問われているのだ。そして、それ自身の存在だと定義されるのである。アリストテレスで言えば「形相の形相」の存在、究極目的の存在の肯定である。スピノザでは一切の起成因となる原因である。起成因の起成因の存在である。自己原因は神でなければならない、スビノザでは、起成因は永遠の相の下での存在論上の根拠を指し、論理的な前提と帰結の関係に平行する概念なのである。だからこの起成因は必然的な結果を導く原因ともなる。

実体と様態の関係もこうした存在論的かつ認識論的な因果関係として成り立っているのである。自己原因の定義を受け継いだ実体と、それに依存する様態がそれぞれ次のように定義される。「実体とは、それ自身において在りかつそれ自身によって概念されるもの、言い換えればその概念が形成されるべき他のものを必要としないもの、と私は知解する」「様態とは、実体の変状、すなわち他のものにおいて在りかつ他のものによって概念されるもの、と私は知解する。」ところで実体と様態との関係は、在るものはなんであれ、様態でなければ実体、実体でなければ様態というように二つの在り方のいずれかとなる。「互いに共通点を持たないものはまた互いに他から知解されることができない。すなわち一方の概念は他方の概念を含まない」もしそうであれば物体と想念の様に互いに限定されないものも、異なる類に属するから、相互に因果関係は成立しないはずだ。これとパラレルに言う「真の観念はその対象と一致しなければならぬ」ここでスピノザが言っているのは観念と観念されたものの関係である。スピノザは実在論に立つから一致しなければならない要請が必要なのだ。実在論として真理が成り立つには、異質なものの同一性が保証されなければならない。だからこそこの同一性は存在論的に要請されねばならない。

また、スピノザは属性を実体の本質的構成要素として認める。つまり鉛筆に芯がなければ鉛筆ではないように本質的な属性を欠けば実体は成り立たない属性を認識する能力は知性であるが、実体の本質を構成するのは知性ではない。スピノザの場合、実体には属性を構成する本性がある。実体つまり存在性とはそもそもそうした構成的力能のことだ。そうした本性としての力能の作用ないし働きが、属性として具体化されるとは考えられないか。知性の働きはそのことを知覚する。

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