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2013年1月25日 (金)

ベルギー象徴派展(3)~ジャン・デルヴィル

Belgdel1ジャン・デルヴィルは1867年ルーヴェンに生まれ、1953年ブリュッセルで亡くなっています。1885年ごろから象徴主義的な作品を書き始め「20人会」に加入、1889年頃神秘思想家ジョセファン・ペラダンと出会って「薔薇十字会」の運動に参加、積極的に出品する。「芸術のために」展や「理想主義藝術」展を主宰し、審美的な象徴主義藝術を推進、ルーヴェンの市庁舎などの公共の場を飾る寓意的な作品も制作している。グラスゴーとブリュッセルの美術学校で教授を、モンスのアカデミーでは校長をつとめ教育にも貢献した。フラ・アンジェリコやワグナー、モローなどの様々な影響を受け入れたデルヴァルの作品では、異教的なテーマが甘美な色彩で表現されている。

カタログから画家紹介の一部を引用しました。ものの本によれば、クノップフと並んでベルギー象徴派を代表する画家ということです。しかし、私は知りませんでした。今回の展覧会で、とにかく名前だけでも聞いたことがあったのは、クノップフとアンソールだけで、あとは初めてのひとたちでした。しかし、このデルヴィルの作品を見るとどこかで見たような既視感に捉われます。知らないところで引用されたのを見ていたのか、それとも月並みだったのか。この月並みというのは、もともと個性がなかったのか、色々なところで真似されて本家より物真似の方が出回ってしまったという2通りの線が考えられます。しかし、クノップフだって亜流が沢山いたわけですし、それでも本家のクノップフは、こうして他に真似のできない存在としてあるわけです。ということは、それだけ、もともと陳腐化しやすい画家だったということでしょうか。

Belgdel5「死せるオルフェウス」という竪琴の上に首が乗せられ、漂うという衝撃的な構図は、どこかでまんがかイラストで見たような錯覚さえ覚えます。竪琴の上のオルフェウスの首というアイディアはギュスターヴ・モローの作品に先例があり、それを参考したと考えられますが、デルヴィルは一見海面にも見えますが、巻貝が周囲にあるので海底にも見えます。点々と星が瞬いているように見えるので夜空かもしれず、その判然としないところで、竪琴が海面に浮いているように境界が明確に描かれず、全体として故意にぼかされ幻想味の強調が為されています。無限の空間とでも考えればよいのか、それを印象的な青が使われ、海面でも海底でも夜空でもない独自の青がさらに印象的です。画面の上方からオルフェウス顔を照らし出すのは自然の光とは考えられず神秘的な光ということになるのでしょうか。それらが相乗効果となって、何かが隠されたような象徴性、漠然とぼかされた意味性が曰くありげな神秘性を盛り上げているといえます。何だかんだいっても、詩人という人にとってはコメントしやすい画面に仕上がっているといえのす。ということは、絵画として視覚的なことだけで独立完結しているのではなくて、手段となっていて、その手段を必要とする目的が詩とか神話とか言葉によってイメージがつくられている。そして、言葉が時代の変遷の中でステレオタイプ化と陳腐化していくのに合わせて、作品も陳腐化を免れなくなっていくというものでしょうか。もともと言葉に拘束されず、絵画としてそれ自体が完結自立していれば、言葉が鎮撫化しても、新たな言葉により新たな評価が為されるものですが、この作品はもともと言葉により拘束されているため、その言葉が陳腐化すれば、それに伴い陳腐化していく、そういう作品であるように思います。

ただ、見た目が派手で、彩もあざといくらいに鮮やかなので、飾ると見栄えがすることから陳腐化しても通俗的に重宝される、忌憚なく言えば成金趣味のニーズに対して応じられるものであるように思えます。他の作品も参考に並べますが、見る側からみるとステレオタイプのパターンとして見やすく、飾り映えのする作品ということでいいのではないかと思います。私個人の主観的な価値観でいえば、クノップフと同列にするほどのものではないと思います。

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