無料ブログはココログ

« 「エル・グレコ展」(9)~近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として | トップページ | ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(11) »

2013年3月23日 (土)

ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(10)

配当

私の数人の親友を含む多くのバークシャーの株主は現金の配当を受けたいと思っています。我々がバークシャーが保有している大部分の株式からの配当を楽しみしているが、我々自身は配当を支払わないことに、皆さんは当惑されているでしょう。それで、配当がいつ株主に意味をなし、意味をなさないかを説明しましょう。

収益の多い会社は、様々なやり方で(互いにかち合うことなく)、その収入を割り当てることができます。企業のマネジメントは現在の事業状況によって明らかになる再投資の可能性を最初に検討しなければなりません。それは、より効率的になることであり、地域を拡大させることであり、生産ラインを増やしたり改善することであり、さもなければ競争相手から会社をまもる参入障壁を築くといった計画です。

私は子会社のマネージャーたちに、いつも障壁を大きくする機会を逃さないように言っています。そして、彼らは経済的な意味を多く見出します。しかし、マネジャーは時に不発に終わってしまうこともあります。たいていはうまくいかなかった原因は、彼らが望んでいる答えからスタートして、後になって根拠となる正当性を探すからです。もちろん、そんなプロセスは潜在的なものです。しかし、それはとても危険なことです。

皆さんの議長は、この過ちとは無縁ではありませんでした。バークシャーの1986年の年次報告の中で、我々の織物事業において20年にわたる経営努力と設備改良が、どのようにして無益な結果に終わったかを説明しました。私はビジネスの成功を欲するあまり、一連の誤った決定に自ら進んで行ってしまいました。(私は、さらにもう一社ニューイングランド紡績会社の買収までも行ってしまいました。)しかし、願望はディズニー映画の中でのみ実現するような夢を作り出します。それはビジネスの毒です。

そのような過去の過ちにもかかわらず、我々の利用できる資金をもちいた最優先事項は、様々な事業で賢明に進むことができるかを常に調べることです。2012年における121億ドルの固定資産投資と事業譲渡による取得と言う記録は、これがバークシャーの資金配分の肥沃なフィールドであることを証明しています。そして、ここで我々には利点があります。我々は、あまりに多くの経済領域に手を広げているので、他のどの会社もできないほど広い範囲から選択することができます。何をすべきかを決める時に、我々は雑草を飛び越して、花だけに給水すること可能なのです。

我々が現在の事業に多額の資金をつぎ込んだとしても、バークシャーは多額のあらたな現金を定期的に生み出してくれます。したがって、我々の次のステップは我々の現在の事業は無関係のビジネスを獲得するために捜すことです。ここでの我々のテストは簡単です。我々の買収が、株主の皆さんの1株当たりの裕福さが買収の前より進んでいるということが可能であるとチャーリーと私が考えられるかです。

私は、買収においてたくさんの誤りをしてきました。そして、これからもやってしまうでしょう。しかし、全体として、我々の記録は満足すべきものです。それは、我々が資金を取得のために使ったことにより、自社株取得や配当にその代わりにつぎ込まれたならば成れたであろう裕福さ以上になっている、ということを意味しています。

しかし、標準的な断り書きで使われるような、過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。それは、とりわけバークシャーでは真実です。現在の我々の規模のゆえに、意味があって賢明な買収をすることが、これまでの大部分の年にできていたよりも難しくなっています。

それでも大規模な取引は、まだ、我々に1株当たりの本源的価値を実質的に増す可能性をもたらしてくれます。BNSFはその適例です。現在の価値は我々の帳簿価格をかなり上回っています。配当や自社株取得に、この買収に必要とされる資金を割り当てていれば、皆さんも私も酷い状態になっていたでしょう。BNSFのような大規模な例は珍しいものですが、海にはいまだ何匹かの鯨が泳ぎ回っています。

3番目の資金運用として自社株取得です。会社の株式が保守的に算出された本源的価値に対して意味ある割引価格で売られたのを引き取るのなら、会社にとって意味のあることです。確かに、規律を守って行う自社株取得は賢く資金を使う方法です。皆さんも1ドル札を80%以下で買うことができれば、失敗することはないでしょう。我々は、昨年の報告書で自社株取得の基準について説明しました。そして、機会に恵まれれば、我々は大量の自社株を買います。我々は帳簿価格の110%以上は払わないと、当初は言いましたが、それは非現実的であると分かりました。したがって、我々は大きなブロックが帳簿価格の約116%で買えることができる時、12月に120%まで限度を上げました。

しかし、次のことは決して忘れません。自社株取得の決定において、価格は非常に大切です。購入価格が本源的な価値を上回ってなされれば、価値が崩壊することになります。取締役も私も、継続的な株主は、我々が120%まで購入限度を引き上げたことにより、意味ある利益を得られたと信じています。

そして、配当の話に移りましょう。ここで、我々は少しの仮定と若干の数字を使用しなければなりません。数字の扱いは注意深さを必要とします。しかし、それらは配当にたいして賛成と反対のケースを理解するために必須なのです。だから、堪忍して下さい。

我々は、皆さんと私が200万ドルの自己資本によるビジネスの同じ所有者であると仮定するところから始めます。その事業は自己資本に対して2%、つまり24万ドルの利益を生み出します。そして再投資すれば、それに対して同じように2%の利益を得ることができると合理的に考えることができます。さらにまた、自己資本に対して125%で購入したいと常に考えている部外者がいます。したがって、我々か現在それぞれ所有しているものの価値は125万ドルです。

皆さんは、株主である我々二人は会社の年間利益の3分の1を受取り、3分の2を再投資させたいと思いました。その計画は、現在の収入と資本の成長の間で皆さんが求めたバランスのとれたものであると思われるでしょう。それで、皆さんは現在の利益の8万ドルを支払いに回し、16万ドルを企業の将来の成長のために保持しておくことを提案するでしょう。最初の年には、皆さんの配当は4万ドルです。利益が増え、3分の1の支払いが維持されたので、配当もまたそれに従うでしょう。全体として、株価と配当は毎年8%増加していきます。(外へ払われる自己資本の4%を差し引いた自己資本の上で得られる12%

10年後に、我社は4,317,850ドル(200万ドルの元本を8%複利で)の資本金を持てるでしょう、そして今度の配当は86,357ドルになるでしょう。我々は、それぞれ2,698,656ドル(会社の自己資本の半分の125%)の価値を持つ株式を所有していることになります。それからも、我々は配当と年8%で我々の株式の価値が成長していくことにより、ハッピーでいられるでしょう。

« 「エル・グレコ展」(9)~近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として | トップページ | ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(11) »

バフェットの手紙」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(10):

« 「エル・グレコ展」(9)~近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として | トップページ | ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(11) »