ウォーレン・バフェット「株主への手紙」2012(2)
それでは、2012年の良いニュースです。
・ 昨年私は、皆さんに、我々の保険以外の5つの大会社、BNSF、イスカー、リーブゾール、マーモン・グループ、そして、ミッド・アメリカンエナジーが2012年に税引き前利益で100億ドル以上を稼ぎ出しそうだと、お話ししました。それを彼らは、やってのけたのです。米国経済の成長が生温く、世界中のいたるところで経済が弱体化しているにもかかわらず、我々の「5つの発電所」は、2011年に比べておよそ6億ドル増加の101億ドルの総利益を得ることができました。
このグループのうちミッドアメリカンだけは、税引き前で3億9300万ドル稼いでいますが、8年前にバークシャーの所有となりました。続いて、我々は全て現金決済で5社のうち3社を手に入れました。第5のBNSFを獲得する際に、我々は、その費用の70%を現金で支払い、残りは未払い分に6%を追加した株式を発行しました。したがって、5つの会社によりバークシャーが年間で得られた97億ドルの利益は、若干薄められることになっています。それは、全体としては成長していませんが、一株当たりの利益は増えています。
米国の経済情勢でなければ、我々はそれらのいずれにも期待していませんが、我々の5つの発電所は2013年に再びさらに大きな利益をもたらしてくれるでしょう。
・ 私は2012年には大きな獲得ができませんでしたが、これに比べて子会社のマネージャーたちは遥かに良い仕事をしました。我々には「ボルト・オン」購入のための記録的な年となりました。我々の既存の26のビジネスのためにまとめて23億ドルを費やしました。これらの処理は、バークシャーが株式を発行することなく終わりました。
チャーリーと私はこの獲得を好んでいます。通常彼らはリスクを低く抑え、本部に負担をかけないで、マネジャーの守備範囲を広げます。
・ 我々の保険事業は昨年灯りを放ちました。バークシャーに自由に投資することができる730億ドル提供している間、彼らは、さらに、16億ドルの引き当て業務利益を10年連続で提供してくれました。これは、皆さんのケーキを取っておいて、それも食べるようなものです。
ガイコはそれをずっとリードしています。引受業務規律を犠牲にすることなく、市場シェアを奪取し続けました。我々の傘下に入った1995年以降に個人の自動車保険市場でのガイコのシェアは2.5%から9.7%に増大しました。これから、さらなる成長が待っています。
ガイコの並外れたパフォーマンスに対する称賛は、トニー・ナイスリーと彼の27,000人の同僚たちが受け取るべきものです。そのキャストに我々は我々のヤモリを加えるつもりです。風雨や夜の暗がりも彼を止めることはできません。小さなトカゲは、アメリカ人にGEICO.comを訪れることによって、どれほど多くのお金を節約できるかということを伝え続けています。
私は祝福すべきことを数え上げる時には、ガイコに対して2回カウントしてしまいます。
・ トッド・コームズとテッド・ウェシュラーの2名は、我々の新任の投資マネージャーですが、頭が切れ、バークシャーに通常の有価証券投資管理を上回るやり方でもって有益で完璧なモデルを持っていることを証明しました。彼ら二人は、我々にとって大当たりでした。2012年では、彼ら2人それぞれが二桁のマージンによってS&P500を上回るパフォーマンスを上げました。彼らは、それぞれ同じように私を圧倒しました。
したがって、我々は、彼らそれぞれが管理する資金額を50億ドル(我々の子会社の年金基金から拠出されるうちから)まで増やしました。トッドとテッドは若くて、チャーリーと私が舞台を去ったかなり後でバークシャーの莫大なポートフォリオを管理することになるでしょう。彼らが引き継ぐと、皆さんは安心できるでしょう。
・ バークシャーの年末時点の従業員総数は、昨年末より17,604人増加して288,462人を記録しました。(詳細は106ページを見て下さい)しかし、我々の本部の要員は24人のままで変わりませんでした。正気を失う感覚ではありません。
・ バークシャーの投資の“ビックフォー”、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ、IBMとウェルス・ファーゴ、これらすべてにとって良い年でした。これらの会社それぞれに対する我々の投資意欲は、この1年で増加しました。我々は、ウェルス・ファーゴ(2011年末の7.6%に対して現在は8.7%)とIBM(2011年末の5.5%に対して現在は6.0%)の株式を買い足しました。一方、コカ・コーラとアメリカン・エキスプレスが行った自社株買いは、我々の所有率を引き上げました。我々のコカ・コーラの所有率は13.0%から13.7%に、アメリカン・エキスプレスは8.8%から8.9%に増加しました。
この4社すべてに対するバークシャーの投資意欲は、将来も増加するでしょう。救命胴衣は正しく扱いましょう「良いことが多すぎるのは素晴らしいことです」
4社は素晴らしい事業を持っており、優秀で株主の方を向いたマネージャーによって運営されています。バークシャーで我々はまあまあの企業を100%所有するよりもすばらしい企業の核心的な部分を所有しコントロールしないでいることを好んでいます。主要な配分に柔軟な姿勢を取ることによって、我々は企業をコントロールすることもはるかに有利な条件を得ることができるのです。
年末のシェア計算によれば、2012年の“ビッグ・フォー”における我々のポジションは39億ドルに達しました。しかしながら、ここで我々が皆さんに報告する収益は、受取配当金である約11億ドルのみとします。しかし、間違いはありません。我々がここで報告しない収益の28億ドルは、我々が記録するものと同じくらい、どの点から見ても貴重です。
この4社は保有している収益で自己株式の取得をしばしば行います。それは、将来の我々の収益の分け前を増やすことになります。そのうえ資金提供の機会において常に有利に働きます。時間が経ては経つほど、我々は、この4つの投資している企業により大きな収益を期待しています。我々が正しければ、バークシャーへの配当は増えるでしょう。そして、さらに重要なことは我々の未だ回収されていないキャピタルゲイン(4社で年末現在で267億ドル)も増えることになります。
・ 資本配分の決定をする時に、彼らの事業の多くが収益とキャッシュ創出の両面で記録的に喜ぶべき状況にあったにもかかわらず、昨年は多くのCEOが「不確実性」を大声で叫び、心を痛めていました。バークシャーでは、我々は彼らと恐れを共有しませんでした。そしてその代わりに、2012年の設備投資に98億ドルを記録しました。これはアメリカ合衆国全体の約88%に当たります。それは2011年に我々が費やしたより19%増えました。チャーリーも私も、専門家が何と言っていても、価値あるプロジェクトに多額の投資をするのが好きです。その代わり、我々はゲイリー・アランの新しいカントリー・ソング“Every Storm Runs Out of Rain.”の歌詞に注目しています。
我々は床にしっかりと経って、間違いなく資本的支出のさらにもうひとつの記録を作ります。アメリカには、チャンスがあるのです。
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要約すると、チャーリーと私は次のようなことによって各子会社株式の本源的価値を構築していきたいと考えています。(1)我々の子会社の収益力を改善すること。(2)さらに獲得を固定化して収益を増やしていくこと。(3)我々の投資している企業の成長に参加すること。(4)本来の価値からディスカウントが可能な場合にバークシャ株式の買戻しを行うこと。(5)時々大きな買収を行うこと。我々は、また、もしやるにしても、バークシャーの株式を発行して、皆さんの利益の最大化を試みるようなことは滅多にしないでしょう。
これらの建築ブロックは岩のように固い基礎の上に乗っています。1世紀後、BNSFとミッド・アメリカン・エナジーはアメリカ経済で主役を演じ続けるでしょう。さらに、保険は個人と企業にとって不可欠です。そして、バークシャー以上に彼らの活躍の舞台に資源を持ってくる会社はないです。チャーリーも私も、これらの会社やその他の強さを見て、将来の見通しを楽しみにしています。
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