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2013年4月25日 (木)

あるIR担当者の雑感(109)~IRツールとしての決算短信(2)決算短信の文章の書き方

企業が決算短信をIRのツールとして活用していくために、後半の財務諸表の規格化が進んだ部分はキッチリつくるとして、それ以外の、前半の定性的情報を中心に考えてみたいと思います。前回、決算短信の定性的情報として書くべきとされている項目をあげましたが、これらを書くことにより投資判断のもととなるような企業イメージを投資家に持ってもらうことができる可能性があります。また、ここにはない項目で、企業を知ってもらうには、これらの項目以外にビジネスモデルとか市場と競合の状況とかメーカーなら研究開発のこと、あるいは最近のトレンドとしてESG関係(環境、社会貢献、ガバナンス)の事項などがあると思います。これらの項目に無い事項を任意に入れるか、項目のなかで適宜内容を織り込んで記述するか、などの全体の構成を考えることが第一に必要なことと思います。

私の個人的な言い方でストーリーとか筋という言葉になるのですが、企業の理念から、誰に何をする会社かということからビジネスモデルや経営戦略が生まれ、そこで長所や短所が発生する。長所は企業の強みや競争力になっていくし、短所はリスクに繋がる。その短期的な結果が、今期の業績として現われてくる。その結果の反省の上に課題がうまり、それが戦略や方針にフィードバックされていく。抽象的すぎますが、このような筋を各企業でそれぞれ違うし、それを考え短信全体の記述を考える。そうすれば、短信の定性的な説明を読めば、一貫した企業のイメージを抱くことができることになります。最近、あるIRセミナーで講師の人が盛んにストーリーということを強調していました。そのセミナーというのは分かりやすいIR資料の作り方というもので、そこで講師が話しているストーリーというのは、説明のストーリーのことで、話の順番のようなことです。ここで私がいうストーリーはそれとは違って、切り口、視点のようなもの、もっというと企業の動きというのは様々な動きが同時併行し錯綜する複雑な様相を呈しています。それを、ある視点で切り取って、その企業の特徴や強みを浮かび上がらせる、というのは一つの解釈であり、それが実際の企業の自己認識になるようならば、ひとつのイデオロギーです。例えば、同じようにコピー機を扱う企業で、かつて富士ゼロックスはドキュメントカンパニーと自己規定して、文書に関わる会社と位置付け、リコーは光学をベースにした情報機器を取り扱うと自己規定したときに、両社の前に広がっていた市場が違っていったわけです。決算短信がそういうテーマで記述されていて、よめばそれが分かるようになっていれば、投資判断をする際の企業イメージとして、有益であると思います。

これは、何も決算短信に限った事ではなく、最近注目を集め始めている統合報告書のつくりも、一本の筋を通すというストーリーを作り、それをもとに報告書を組み立てていく作業が行われるようです。

実際に、そういう機能を短信が持てるようにするには、短信での技術の構成を考えるのが第一という、今回のスタートに戻ることになりました。この場合、短信を作成する前段階でストーリーができていることが、それについて考察、検討がされていることが、先ず第一です。それについては、浩瀚な「ストーリーとしての競争戦略」をはじめとして様々な書籍や研究がありますので、それらを参照して自社なりのことをやればいと思います。ここでは、短信のことを取り上げているため、このことはテーマとして重すぎるので、いつか別に考えてみたいと思います。

そこで短信としての作業について考えていくと、ここでは、ストーリーありきのパターンで考えてみます。(逆に短信の個別の記述を進めているうちに自然とストーリーが出来てしまった、というケースも考えられなくはないので、あまり固定して考えるのは良くないと思うので)構成として、第一に考えることは、統一性です。第二に、一貫性です。どちらも似たようなものですが、つまりは、ストーリーの前提があって、そこから派生するように、短信の項目が記述されていて、既述が統一されていることです。この場合は、用語の統一とか、細かいですが、そういうところまで含まれます。項目によってストーリーから外れたり、関係のないような記述になっていないということです。そして、第三に関連性です。それは短信の各項目がストーリーを軸に関連し合っていることです。短信での説明に関する全体の構成については簡単すぎると思われるかもしれませんが、決まったパターンはなく、企業それぞれのストーリーに即してつくられるものであると思います。

次回から、それぞれの項目について考えていきたいと思います。

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