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2013年7月30日 (火)

佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(11)

第9章 新しい世界システムと私たち

レイヤー化したひとりひとりが、たくみに設計され、運用されている<>で自律的に活動していく。ひとりひとりの個人のありかたというのは、そのようにかわつていくでしょぅ。何かのウチであることによって規定される個人から、さまざまなプレーヤーの重なりによってあいまいに規定される個人へ。<>の世界システムは、「どこどこのだれだれである」という固定化したアイデンティティの枠に収まらない、そういう新しい個人像を生み出そうとしているのです。

この流れに、いずれ私たちは対応しなければならなくなります。<>では昔の常識が終わります。ウチとソトを分けていた社会では、それに適合した能力がありました。ウチの組織をきちんとまとめていくこと。ウチとソトを分け、ソトと戦い、ウチを盛り上げていく。様々な企業というウチどうしの戦いの中で、いかに自分のウチを強くしていくのかということ。しかしレイヤー化した<>の世界では、ウチとソトの境界はありません。だから<>ではウチとソトの戦略は成り立ちません。国民の結束と、それに伴う強大な軍事力など、未来の<>では何の意味も持たないのです。では、どのような戦略が成り立つのでしょうか。レイヤー化した<>の世界でよく生きていく戦略は二つです。

第一に、レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分を捉えること。

第二に、<>と共犯新柄生きていくということ。

世界システムが替われば、「優秀な人」「ダメな人」「強者」「弱者」等の定義もがらりと逆転してしまうでしょう。例えば、マイノリティ。ウチとソトを厳密に分ける社会では、例えば障害者等は少数派として、つねにソトとして扱われてします、社会のウチから差別されてしまっていました。しかし、レイヤー化した<>では、身体の障害などは、個人をつくりあげるたくさんのレイヤーのひとつにすぎません。障害者であるということは、レイヤーのひとつが他の人と少し違うということに過ぎないのです。そして、他の人と一風変わったレイヤーを持っているということは、そのレイヤーでは同じ特質を持つ人たちと強くしなやかにつながれるようになるということ。それは生きやすさに通ずることはあっても、生きづらさにはなりません。だからレイヤー化した<>は、マイノリティにとっては生きやすい世界になるかもしれないのです。一方、これまで自分が社会のマジョリティだと疑わず、安心しきっていた人は、その平凡さのゆえに、特異なレイヤーで他者とつながることが逆に難しくなるでしょう。<>はマジョリティとマイノリティを逆転させてしまうのです。

すべては逆転していく世界。この世界を前向きに引き受けられるか。それとも苦痛に満ちたものとして忌避するかは、すべてあなた次第なのです。

 

 

最後の結論に近いところは、かなり省略したので、興味のある方は、実際に読んでみることをお奨めします。私が読んでいて、個人的に気になったことは、結論の部分であるレイヤー化した世界の未来図が静止画のように描かれていたことです。多分、将来の素描ということなのでしょうから、無理はないといえばそうですが。例えば、レイヤー化した人々の繋がりとか社会のレイヤー化した部分そのものが、そうなったことで変質していくことになると思います。この本では、現状のものが、そのままスライスされて存続するような描かれ方をしています。また、個人とレイヤーに対する関係も変化していくと思います。このようなレイヤー化した世界に個人が対応していくと、その世界が変化し、個人の個々のレイヤーにたいする関係も変化していくと、レイヤー化して世界の構造も変化していくダイナミクスの方向性に触れられていませんでした。例えば、個人の関係するレイヤーのひとつがどこの地域に住んでいるというものだった場合、その意味内容とか、そのレイヤーに対する個人の関わり方が、ウチとソトの世界とレイヤー化された世界とでは、違ってくると思います。この本で紹介されている例は、例えば、メジャーにところにいて安心しきっている人にとっては、違う世界の出来事のように見えなくもないので、そういう身近な変化を記された方が、リアリティを感じやすいと思います。

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