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2013年7月26日 (金)

あるIR担当者の日記~7月25日(インサイダー取引って本当にいけないの?)

インサイダー規制に関するセミナーを聴いてきました。大手証券会社でインサイダー情報が漏れたとか、金商法の見直しとか、金商法の関係では、マスコミで取り上げられる回数も増えて、東証などでも、上場会社向けに、頻繁にセミナーを開いたり、J-IRSSのような取締役の自己株売買の登録システムを作ったりしています。

そこで、そもそも論として、インサイダー取引の何がいけないのか、という点で考えさせられたセミナーでした。常識としては、インサイダー取引はフェアプレイではなく、ズルして他人に抜け駆けして利益を掠め取る、というイメージがあります。道徳的によくないこととなっている、ということでしょう。そのように、悪いことだから、やってはいけない、だから規制しよう、規制を有効にするためには違反者に罰則を設けよう、というのが現在の金商法の規制ということになっていると思います。

これを逆の方向から見てみましょう。インサイダー取引をした人を処罰するということです。金商法とか具体的な法の規定から少し離れて、そもそも法律で処罰するという場合、刑法総論ですかね、一般論として、法律に触れていること、つまり、法律でやってはいけないことをやったということ、そして、違法性がある、つまり、その人のやったことが悪いといえること、そして、その人がやったことによって誰かが被害を受けたということの間に因果関係があるという3点が成立することが必要だとされています。そこで、インサイダー取引をやったということを当てはめると、第1の法律に触れています。しかし、第2及び第3の違法性と因果関係って本当に言えるのか、疑わしいのです。端的に言うと、インサイダー取引が行われて、誰が被害を受けたか特定できないのです。そして被害の程度も特定できません。そんなことはない、という反論あるかもしれません。そんなことがあって、本当は儲かるはずが儲からなかったという人が出てくるかもしれません。しかし、それは実際に損害を受けたというわけではありません。また、損をしたという人が出て来たとしても、どの分がインサイダー取引があったことによるのか特定できないと、因果関係がはっきりしないわけです。そうなると処罰の根拠がはっきりしない。

そのへんの何をもって悪いとするか、ということがウヤムヤで、場当たり的に規制をしているというような感じを、企業の現場にいる者は感じてしまうのです。会社法の改正の動き等もそうですが。

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