無料ブログはココログ

« 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(6) | トップページ | 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(7) »

2013年7月25日 (木)

あるIR担当者の日記~7月24日(アナリストと経営者)

昨日、取り上げたN社の説明会でのことて、別の話題です。説明会の質疑応答で、楽天がアナリストのレポートに対して抗議の文書を公開し、そのアナリストに対して、出入り禁止を宣言した事件の感想を、社長に聞いた人がいました。これに答えて、当の批判されたアナリストのレポートは、分かっていないのが一目瞭然で、酷いものだという評価をまずして、だからといって、会社の文書にして公表したり、出入り禁止にするのは適切でない。その理由は、アナリストが理解していないのであれば、理解してもらう努力をすべきだ。経営者は、アナリストを育てることも、心がけるべきだ。経営者とアナリストが、向上しなければ、日本の市場は強くなれないと言います。それはタテマエとして反論できない正論で、そういう市場全体を視野に入れる見識は、さすがにトップ経営者だと思いました。しかし、気になったのは、その内容ではなくて口調でした。どこか、アナリストを見下している感じがしました。経営者とアナリストは相互に高め合うという発言に対して、アナリストから学ぶことがあるのか、という質問に対して、社長は、あると答えました。が、それは、アナリストが見当外れなレポートを書いた時に情報開示の方法を見直す契機になる、というものでした。そして、説明会の最前列に居並ぶアナリストたちを指さし、彼らは私の弟子だ、というような発言をしていました。半分冗談で、この社長得意のパフォーマンスではあるでしょう。しかし、そこに、本音が含まれているのは明らかでした。ビジネスの厳しい現場で常にトップの立場で長年戦ってきた人から見れば、年下のアナリストは青二才と映るのは無理のないことで、社長の発言には悪意はなく、彼らへの親しみすら感じられるものでした。しかし、それは、全面的に正しいとはいえないと思います。投資する人の側にいるアナリストと、信頼されて経営を任される経営者とでは、立場が違うし、求められるものが違うはずで、同じ物差しで比較できるものではありません。だから、仮に戯れでも、アナリストを弟子だというのは失言といってもいいと思います。そして、そのことに対して、居並ぶアナリストたち、アナリストの業界でいえば錚々たるメンバーたちのはずですが、そこで笑っているだけでした。それを見ていて、とても情けない思いをしました。彼らの笑い、追従を感じてしまったわけです。私もサラリーマンを長年続けているので、それを単純に悪いということはできませんが、せめて、一人ぐらいは毅然としたところを見せてほしかったと思いました。彼らは、別の、もっと規模の小さい企業の経営者やIR担当者には、頭ごなしに直言することもあるのだろう。そういう人たちに、今の姿を見られていたとしたら、どうするのだろうか、と考えてしまいました。

« 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(6) | トップページ | 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(7) »

あるIR担当者の雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あるIR担当者の日記~7月24日(アナリストと経営者):

« 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(6) | トップページ | 佐々木俊尚「レイヤー化する世界─テクノロジーとの共犯関係が始まる」(7) »