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2013年8月 5日 (月)

あるIR担当者の日記~8月4日(ホワイトカラーのサバイバルが始まる?)

また、昨日の続きです。昔から国家資格で3大資格、弁護士、公認会計士、そして医師というのがあって、試験に合格すれば先生で、将来は左団扇と言われていました。しかし、現在では内前二者は資格を取っただけでは食べていけないと言います。例えば弁護士の場合は、煩雑な法律の条文や規則、あるいは膨大な裁判の判例の中から、ケースに適したものを探し出して、書類を作成するのに、知識と経験が必要とされ、それには専門的な勉強が必要とされていました。しかし、今では、コンピュータやデータベースが長足の進歩を遂げて、法律や規則の条文、あるいは適当な判例はコンピュータの検索機能を活用すれば弁護士でなくても、ある程度のものは探すことができてしまいます。また、書類作成についても書類作成ソフトにあるテンプレートを利用すれば、弁護士でなくても書類をつくれてしまうようになりました。つまり、弁護士にわざわざ依頼しなくても、コンピュータやインターネットをうまく使えば、自分でほとんどのことができてしまう時代なのです。

少し前までは、ブルーカラーと言われた、工場等での生産現場の熟練労働者たちが、生産工程のモジュール化と機械化によって職を機械に奪われ、さらに機械化により仕事は誰でもできるからと国内から、海外の新興諸国の人件費の安い労働者に仕事が移っていきました。それが、これからはホワイトカラーと呼ばれる事務職に及び始めていると思います。弁護士や公認会計士の失墜は、その先触れです。例えば、企業の経理の仕事は、かつては簿記とか会計の専門知識を必要とするエキスパートの仕事でした。しかし、決算とか基本的な経理事務はコンピュータソフトがやってくれます。また、業務の効率化が進むということはシンプルになるということです。そうなると、経理は複雑で専門的な仕事で、企業の中枢の奥深くでやられている仕事から、コンピュータ化と効率化によってスペシャリストの仕事から、外注もできる業務に変わりつつあります。そうなれば、新興国の安い労働力にとって代わられるのも、遠い将来のことではないと思います。これは、総務も人事も法務も、みんなそうです。日本国内の最低賃金とか賃金基準で払わなくてはならない給与は、新興国に比べれば、はるかに高額です。企業としては、同じ仕事をしていて、日本人であるということだけで高い給料を支払わなくてはならないということは不合理です。つまり、コンピュータ化、効率化、そしてグローバル化によって、日本のハワイトカラーは新興国の安い賃金の労働者と競争しなくてはならなくなるのです。近い将来は、というよりも、今、すでに始まっているかもしれないのです。そのとき、私も含めて、ホワイトカラーが生き残るためには、企業が高い給料を払っても欲しいと思わせるような高い付加価値を生み出すような人材であることが必要となってくると思います。新興国の労働者とは価格競争では絶対に勝てないのです。

さて、ここから本題です。これまで考えてきた、例えば、国際会計基準が過去の計算から将来への展望への方向性に転換したということです。そこでは、単に計算をするというだけでなく、経営の一翼として企業の方針にコミットする、それを人々が気が付かなかったようなことに形を与えていく、という作業が入ってくるのです。だから、会計にクリエイティブな要素が入ってくるのです。これは、私には、高給取りの日本を含めた先進国のホワイトカラーの生き残りの試行錯誤に見えてしまうのです。私を含めてホワイトカラーの人間は、いままで誰も教えてくれなかったようなことを自分で考えていかないと、生き残れなくなる正念場に立たされている、と思うのです。

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