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2013年9月10日 (火)

カンディンスキー&ミュンター 1901-1917展(2)

.プロローグ─出会い

Kmachtyrkaカンディンスキーは1896年に画家として出発するためにミュンヘンに出てきます。1901年に「ファーランクス」を結成し、附属の美術学校の教師となりました。そこの生徒として、ミュンターは1902年にカンディンスキーの絵画教室に参加したといいます。このころ、カンディンスキーは、ペインティングナイフだけでミュンヘン郊外の風景を制作していました。「小さな油彩スケッチ」と彼自身が呼んだもので、『アクチョールカ─秋』(右図)という作品もその最初のころのものです。輪郭線を消し、ペインティングナイフを当てて絵の具をうず高く盛り上げてマチエールのように残していく技法は、例えばゴッホが燃えるようなひまわりの作品などで多用した技法です。筆で絵の具を塗った場合と違って、絵の具が厚く盛り上がり、それ時代の存在が主張される、つまりは単に画面の道具としての色ということから、絵の具時代が物質として存在している。また、絵の具で塗るような絵の具の伸びはないため、彩色がぶつ切りのようになった結果、色は「つぎはぎ」のようにポッテリした絵の具の塊が画面のあちこちに点在することになります。その結果一度描かれている対象がバラバラに解きほぐされるような印象になります。この作品でも手前の水草は縦の線でグリーン系統の絵の具が盛られ、それが水草の茎と葉を辛うじて連想させますが、グリーンの塊のようです。その上の部分の池の水面は横方向に絵の具が盛られ、というように、ペインティングナイフの盛る方向と刻み、そして色によって画面が構成されて、かろうじて風景で分かりますが、輪郭は曖昧になってきているのがわかります。

Kmsluice『水門』(左図)という作品では、手前の土手の緑と土の茶色水面の黒、奥の森の黒が、それぞれ色のブロックのように区分分けされて、そこを小刻みにナイフで絵の具を盛っていて、それが画面の陰影をつくり、風景であることが分かるようになっています。

この方式をさらに発展させていくと、後年のムルナウの風景画のようなものになっていくのが、あとの作品を見ているだけに想像できます。そういう意味で、これらの作品は、あくまでそういう作品に至るということが分かる資料的価値のほうが高いと思います。

.カンディンスキー─メルヘン的な絵画

カンディンスキーは「小さな油彩スケッチ」と並行してテンペラや水彩、そして多色木版による作品を制作し、自らそれらを「彩色ドローイング」と呼んだそうです。「小さな油彩スケッチ」が風景を題材としていたのと対照的に、「彩色ドローイング」はドイツやロシアの騎士道や民話的な題材をとりあげメルヘンチックな作品を制作しました。

Kmbride『花嫁』(右下図)もそのひとつで、褐色のボードの上に小さな色点や色斑をモザイクのように配しておいていくように絵の具を塗るのは、「小さな油彩スケッチ」で絵の具をナイフで塊のように置いていくのと、相通じる手法でしょう。色のかたまりのようにして、形態に色付けするというのではなくて、色じたいがひとまとまりとして独立して存在しているかのようなあり方です。花嫁の足もとの草花をまるで宝石のきらめきのように細かな色点を配し、花嫁の衣装の柄も大き目の色斑で構成させているのは、色の点の大きさだけで、草地と花嫁の衣装という二つの領域を区別しています。その上の中景は緑の横線で岡が描かれ、奥には教会が横線で構成されています。左端の縦欄の白樺、楕円の雲が浮かび、その余白を埋めるように空の青がべったりと塗られています。一見メルヘンチックですが、動きはないし、主役である花嫁に表情はなく人形のようです。全体として青系統の寒色が基調になってヒンヤリとした印象を受けます。タイトルで『花嫁』と言ってもらわなければ、そういう感じがしない、そういう作品です。

『商人たちの到着』は、『花嫁』の手法を精緻に徹底させたものです。まるで点描のような作品は、画面全体の平面的な印象、というのか色が前面に出てくる印象がさらに強まりました。絵画というよりモザイクに近いのでしょうか。何かを描いても、そのせいか、その何かが判別しにくくなってくる傾向を、そういう手法が促進させているかのようです。

.長い旅行

Kmmunterカンディンスキーは『ガブリエーレ・ミュンターの肖像』(左下図)を描いています。カンディンスキーも、こういう肖像画を描けるのだ、というちょっとした驚きはあります。カンディンスキーとミュンターのラブストーリーということに焦点をあてれば、意味ありげで、そういう興味をもって眺めることができるかもしれません。そういう視点で眺めることを否定するつもりはありませんが…。

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