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2013年11月 6日 (水)

N社の野望、続編

以前、ある方のご厚意でN社の決算説明会に行くことができ、そのレポートを掲載させていただきました。N社の野望 この前、10月23日に第2四半期の決算説明会があり、また、行ってくることができました。

説明の路線としては。前回の説明会で説明されたことを進めているということですが、実際に成果が現われてきているようで、この早さは凄いことだと思いました。日本のメーカーは鈍重だと揶揄的に言われることが多いですが、経営者のN社長の個性もあるのでしょうか、N社のこのスピード感は世界のどの企業よりも早いのではないかと思います。

実際に成果が現われてきていることから、戦略がさらに明確化し、説明者のN社長も革新度合が深まり、前回以上に自信をもって説明されていました。また、施策が進んでいることから社長へのフィードバックもあるのでしょう、説明の内容が、前回よりも絞り込まれて、さらに戦略が明確化してきているように思いました。前回は。モーター単品のメーカーから制御部分も含めたモジュールを提供することと、自動車や家電等の新分野を開拓することが並列的に説明されていたのが、今回は、それぞれの戦略の次元が違っていることを意識的に説明されるようになって、モジュールで提供するということから自動車等の新市場への展開が開けてきたということです。そして、ECUというモーターの制御部分を強化するために、その関係のM&Aを積極的に仕掛けるとか、ここで差別化することで独占的な有利を持ち、価格競争に巻き込まれないとか、戦略がさらに具体的に深まってきたように見えました。すごいのは、その戦略のなかで、日本でものづくりをするということが必然として位置付けられていたことです。日本のものづくりにこだわるメーカーは数多くありますが、その理由は、どちらうかというと情緒的な傾向が強く感じられることが多いですが、N社の戦略では、ものづくりをすることが一番儲かる、そしてその一番儲かるものづくりをする場所として日本国内が最適である、つまりは、日本でものづくりをすることが一番儲かるからしているのだ、ということが明確にされていることでした。むしろ、研究開発はものづくりの価値を高めるための手段である(研究開発に特化して、ものづくりを外注化するメーカーを一番の儲けを放棄しているようなものだ)と言い切ってしまうのが凄い。これは、日本の多くのメーカーへの現場からの建設的批判ともとれるものです。

実際のところ、長期的な将来を見ていくと、例えば自動車の自動運転のことが連日話題となって報道されていますが、そのハンドルやブレーキを運転のために動かすためにはモーターが必要になってくるので、制御と一体となったモジュールはさらに需要が増してくる、ということです。N社長が語っていましたが、市場環境は必ずしも良好とはいえず、社長自身も環境に対して楽観的になれないといいます。その中で、利益を出し、成長させていくのは経営の戦略であって、N社はそれで成長してきた、というのがよく分りました。実質的に、N社は環境に左右されるというよりも、自ら環境を作っていく企業になりつつあるのではないか、N社長はそれを意識しているのではないか、と私には思えてなりませんでした。

今後、この戦略が順調に進展するかどうかは、私には分かりません。多分、この戦略を進めて行けば、現時点でのN社とそのグループの体制は進展に合わせて再編されていかなければならないだろうし、その時にN社長をトップに頂く体制が適しているかどうか、そんな課題がでてくるような気がします。が、聞いていて、希望が湧きあがってくるというのか、すくなくとも元気になれるというものでした。

最期にIRの現場からの視点でN社の説明会を見てみると、毎回の説明会で何らかの工夫が加えられているのが感心させられます。今回は、説明会の時間を30分伸ばして、全体で90分とし、その伸ばした時間を質疑応答に充てていました。これは、質問者が多くて時間内に捌ききれないため、その解決策として考えたのだと思います。これは、N社という企業の姿勢がそうなのだろうと思いますが、惰性でものごとを考えないという姿勢が一貫しているのだろうと思います。だから説明会の時間設定ひとつとっても、みんなそうだからと何の考えもなく1時間で済まそう、というのではなくて、説明会の目的である会社を理解してもらうために最善は何かという問題意識を持っている一つの表われではないかと思います。

説明会の資料についても定型化したテンプレートのよう資料で決算の数字だけ入れ替えるような会社もあるなかで、毎回、何らかの工夫がなされているのが分かります。それはN社長が経営戦略を語ろうとするさいに、それは生き物のように時々刻々と変化していくものであって、固定的なものではないということから資料もそれに応じて説明会のたびに検討され新たに作られていると、その際にN社長の戦略を伝えるための最適な資料が試行錯誤されているのが形になっている。

これらのことは、折角説明会をやるのだから、その機会を無駄にすることなく、その機会を有効に活用していこうという、いい意味でのガメツサを濃厚に感じさせられました。きっと、これはN社の文化なのだろうな、ということも。

たいへん勉強になったし、元気つけられる説明会でした。

沢山の人が出席していたN社の説明会で、こんな感想をもっているのは、多分、私だけなのだろうなと思います。

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