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2014年1月27日 (月)

江戸の狩野派─優美への革新(6)~Ⅴ章 京狩野VS江戸狩野─美の対比、どっちが好み?

出光美術館は古いビルのフロアを使っているため、基本的にはオフィスのスペースを美術館に転用しているような感じで、レイアウトの工夫はいろいろ考えられているのでしょうが、屏風のような展示に広いスペースを要するものには苦労しているのではないかと思います。展示スペースパそれほど広くはないので、余裕を持った展示は難しいのでしょう。どうしても、近くで近視眼的に見てしまいがちなところで、はたして京都と江戸の狩野派の対照まで展示する必要はあったのか。狩野探幽とその周辺に的をしぼって、狩野探幽や狩野常信たちの作品をじっくり見せてくれてもよかったのではないか。また、スペースの空いた所に陶器が展示されていましたが、ハッキリ言って、絵を観るには邪魔にしか感じられず、うっとおしく思いました。これは、私の独断と偏見による個人的な感想です。どうしても、個人のコレクションを展示するような美術館、ほかにも、山種美術館などもそうですが、コレクションを自慢したいという気持ちが露骨に出ていのが感じられて、金を払って見に来る身としては辟易とさせられることが少なからずあります。これは、コレクションなどというものを望むべくもない、庶民の身である私の僻みではあるのでしょうが。

Edokyoto さて、多少、蛇足の感はあるにしても、折角見せてくれるのですから、少しく覘いてみます。説明によると、狩野派は江戸時代に入ると、徳川幕府にくっ付いて行った江戸狩野派と京都に残った京都狩野派に分れたと言います。ここでは、その分かれた狩野派の傾向の違いを対照的に展示している、ということです。まず、京都狩野派の狩野永納の「遊鶴図屏風」の一部です。“松の樹幹にみえる強い輪郭線、芙蓉などの花々の写実的な描写、これらが濃い色彩と相俟って濃密な画趣を生んでいる。また、松の針葉が文様のように同じ調子で整然と描かれるなど、他にも緻密な描写が随所にみられ、装飾的な描写が目を引く。”と解説されています。慥かに、そう言えると思います。

Edoedo そして、隣には江戸狩野派の狩野安信の「松竹に群鶴図屏風」が展示されていました。画像は、その一部です。“大樹や岩石、瀑布や水流などが添景となって画面を構成するこしなく、端に土坡を控えめに配しながら、花木類についても若松や若竹、笹などを描いて楚々とした風情を志向し、モチーフを厳選して余白を大きく取り入れた、すっきりとした画面構成を見せている。”と解説されていました。これも慥に言えてます。

ふたつの作品の違いはそうなのですが、祖先が同じで系統分れしたから、違いをことさらに目立たせているのでしょうが、主役である鶴の描き方に違いはあるかというとそれぞれの作品の中の鶴を相互に取り換えても違和感がないのではないか、と思えます。両者の違いは端的に言えば、画面のレイアウトの違いということができると思います。京都狩野派が装飾的というのも、装飾的な花などを多数配置しているがゆえで、描き方そのものが違うわけではありません。それはそれでいいのですが、そういう画面のレイアウトが違うことが、両者の空間把握の仕方に違いが生まれるのかというと、それはないように感じられます。そして、構成が変わってくれば、その部分である鶴の描き方に違いがフィードバックされて描き方、さらに言えば、鶴の捉え方、見方に違いがでてくるはずですが。しかし、鶴自体に違いが見えず、交換可能なのです。それは、二つの作品の線の扱いに表われています。鶴とか樹とか、それぞれのパーツの描写で引かれている線が連係していないのです。それぞれが別個な感じで、有機的なつながりがないのです。多分、これだけの大作ともなれば、工房で制作されて、個々のパーツは分業で制作されたのではないかと思います。そのとき、狩野永納にしろ狩野安信にしろ、クリエイトというよりはアレンジとかプロデュースの姿勢に近いものになっていたのではないか、と思えて仕方がないのです。

Esosoutatu ちなみに、活躍した時代が重なると思いますが俵屋宗達の描く鶴と比べてみると、鶴自体が大きく異なります。

多分、この京都と江戸の比較展示は、両者ょ対照的に見せて、それぞれの特徴を際立たせるものなのでしょうが、私には、狩野派が後に粉本主義として旧態依然のお手本の丸写しを踏襲していると批判されたものの萌芽を見せられ。それが京都にも江戸にも共通しているところを見せてもらえた、と思いました。

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