江戸の狩野派─優美への革新(4)~Ⅲ章 やまと絵への熱意─広がる探幽の画世界
これまで見てきたのは水墨画が主で、線によってかたちづくられる、線が中心の絵でした。ここでは、水墨画に対して鮮やかな彩色が加わり、そちらに中心が置かれるやまと絵が展示されています。ここでも、彩色によって、線が存在を大きく主張は出来なくなっているにもかかわらず、線が生きているということが印象強かったでした。
「源氏物語 賢木図屏風」(左上図)を画像で見ると分かりませんが、現物では金箔や鮮やかな彩色よりも線の繊細な使い分けに目が行ってしまいました。描かれている人物や建物といったパーツはやまと絵のパターンそのもの(と言っても、やまと絵を詳しく知らないので、歴史の教科書で見たものと同じような、という程度ですが)を忠実に従っているという感じです。ただ、余白を多くとっているという画面全体のレイアウトが見た目の個性を出しているのかもしれません。参考として、江戸初期の住吉如慶(右図)による同じ題材のやまと絵をあげておきますが、余白の取り方が全く違います。
ただ、私には折角の線が隠れてしまうような気がして、やまと絵は、あまり面白く感じませんでした。
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