無料ブログはココログ

最近読んだ本

« 生誕140年記念下村観山展(5)~第4章 再興日本美術院 | トップページ | 宮崎裕助「判断と崇高」(1) »

2014年2月 9日 (日)

ジャズを聴く(4)~アート・ペッパー「ウィズ・ウォーン・マーシュ」

Jazartpepper_with I Can't Believe That You're In Love With Me (Orig. Take)

I Can't Believe That You're In Love With Me (Alt. Take)

All The Things You Are (Orig. Take)

All The Things You Are (Alt. Take)

What's New

Avalon

Tickle Toe

Warnin' (Take 1)

Warnin' (Take 2)

Stomping At The Savoy

 

Art Pepper (as)

Ben Tucker (b)

Gary Frommer(ds)

Ronnie Ball(p)

Warne Marsh(ts)

 

アート・ペッパーの1956年11月にコンテンポラリー・レーベルでの初めてのリーダー・セッション。しかし、長らく発売されず、1972年に一部が、そして、1986年にようやくまとまったものとして発売されたのがこのアルバムだという。

年代も近く、同じ白人のアルト・サックス奏者のリー・コニッツと比べられることがあるが、このアルバムで共演しているテナー・サックスのウォーン・マルシュは、そのコニッツと同門でレニー・トリスターノの弟子にあたる。この二人のやりとりが、気の合った同士の会話のように、時に離れ、時に寄り添い、絡みまくるわけてなければ、ばらばらに吹いているわけでもない、リラックスした心地よいプレイが進んでいく。それが、このアルバムの特徴となっている。

ペッパーのプレイは、自分一人が目立つとか、強引に周囲を引っ張るといったタイプと違って、全体のアンサンブルを考え、そこで周囲を生かしつつ自分のプレイを構成していくというタイプに属すると思う。気の強い同士が双頭でコンボを組むと互いに自己主張の競争となってスビードバトルやソロの取り合いとなることがある。それはそれで面白いのだけれど、ここでのペッパーとマルシュは親密なアンサンブルを作り上げている。バックの3人(ピアノ、ベース、ドラムの3人、中でも特にピアノのロニー・ボール)も出しゃばり過ぎずに総じて控えめな演奏に徹しているところが一段と心地よいものにしている。

それが、ペッパーのプレイにも影響しているのではないか。『Modern Art』に比べると、リラックスして聴こえる。例えば、「Warnin'」は、『Modern Art』の中の「Blues In」や「Blues Out」に通じるような曲なのだけれど、こっちの方が軽快なのだ。バックのメンバーが違うということもあるけれど、ペッパー自身が、よりリズミカルで跳ねるような感じになっているので、こころもち音が軽くなっているように聞こえる。

さらに、一曲目の「I Can't Believe That You're In Love With Me (Orig. Take)」では最初から、ペッパーとマーシュのアンサンブルが楽しげだ。ワン・ホーンという構成の『Modern Art』ではペッパー一人で背負うということから、どうしても緊張して肩に力が入ってしまう。それに対して、こちらはマーシュとのアンサンブルが幸いしてか、肩の力が抜けてリラックスしているように感じられる。ペッパーのプレイが楽しげで、リズミカルに弾んでいる。リラックスしたムードの中で"閃き"があり、それを"閃き"のように見せることなく(しかしちゃんと聴くとフレーズや旋律そのものは"閃き"なのだが)何食わぬ顔で演奏をしていく軽妙なペッパーの姿を見ることができる。

また、ペッパーとマーシュは同質性が高いが、細部を聴くと、あくまでクールなマーシュと、似たようなフレーズにも結構気分がこもってしまうペッパーの微妙な違いが見えてくる、という楽しみ方もある。

« 生誕140年記念下村観山展(5)~第4章 再興日本美術院 | トップページ | 宮崎裕助「判断と崇高」(1) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 生誕140年記念下村観山展(5)~第4章 再興日本美術院 | トップページ | 宮崎裕助「判断と崇高」(1) »