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2014年3月17日 (月)

ジャズを聴く(7)~「ハンク・モブレー・カルテット」

Jazmobley_qurtet Hank's Prank

My Sin

Avila and Tequila

Walkin' the Fence

Love for Sale

Just Coolin'

 

Hank Mobley(ts)

Horace Silver(p)

Doug Watkins(b)

Art Blakey(ds)

 

ハンク・モブレーの初リーダー・アルバム。10インチ盤のレコードだったため収録時間は短くなっている。当時、モブレーが在籍していたジャズ・メッセンジャーズのリズム・セクションとカルテットを組んだ、モブレーのワン・ホーンでのプレイを聴くことができる。『Soul Station』に代表される60年代のモブレーに比べると、元気にハード・バップをプレイしている。モブレー自身のサックスを比較してみると、『Soul Station』の渋い味わいに対して、バリバリ吹いている。しかも、滑らかで豊かで艶っぽい音色の感じが出ている。これは、1955年という制作された時期がハード・バップが盛んで、競うようにバリバリとパップをプレイしていたという状況にも因っていると思う。また、モブレー自身も若く、初めてのリーダーということで張り切っていたのではと想像してしまう。バックのリズム・セクションが気心の知れたジャズ・メッセンジャーズの面々であることから、モブレーも伸び伸びとプレイすることができているし、彼らの方からもモブレーの背中を押すようなパッキングをしているように聞こえる。ここでの、モブレーのプレイを聴いていると、ファンキーとか歌心とか言われることもあるけれど、彼のベースはバップにあったというのが分かる。モブレーと言う人は、良くも悪くもバップのプレイヤーという枠の中で自分なりの音楽を追求した人だったというのが、この原点のようなアルバムを聴くと分かる。処女作には、その人のすべての要素が入っていると言われるが、このアルバムは、まさにそういうものであったと思う。

最初の「Hank's Prank」は出だしでテーマを示した後、さっそくアドリブに突入していくが、いかにも突入という感じで、モブレーが颯爽として、元気いっぱい。ここには、速いテンポで真正面からバップのブローをしている。後年の歌うような横の線のフレーズではなくて、縦に短いフレーズを繰り出してたたみかけるようなアドリブ・プレイは非常に力強くダイナミック。ただ速いパッセージでは、少しもたつくところが珠に瑕。2曲目の「My Sin」はバラードで、マイルドな音色で、訥々とメロディを吹いているのは、『Soul Station』の頃のプレイに比べて、ここでのモブレーは洗練されていない代わりに淡々とした朴訥な味わいを持っている。『Avila And Tequila』はラテン風リズムのバップ・チューンで、スタッカートでリズミカルなテーマから、アドリブに移ると軽快にメロディアスなフレーズを次から次へと繰り出すモブレーのプレイの変わり目がとても面白く、軽快な乗りにモブレーの紡ぎ出すメロディが合って、ピアノ、ドラムのソロのリズミカルで重くならない。唯一のスタンダード曲「Love for Sale」はかなりアップテンポで、バックの煽りを受けて、まるでオリジナル曲のように崩してしまってバリバリ吹いている。面白いのは次の「Just Coolin'」が、前の「Love for Sale」と対を為すような対称的なアクセントとメロディラインで、同じようなスタッカートのリズミカルなテーマであること。こちらはミディアムテンポに落として、アドリブも崩すというよりメロディアスに展開させている風。結果的にそうだったのかもしれないが、このアルバム全体に漂っているリラックスした遊び心のようなものが最後にそういう風に表われている。

このころのモブレーのプレイの特徴のひとつに、何はともあれ、他のプレイヤーとセッションして音を合わせたり、相互にソロをとったりみんなでプレイすること自体が大好きで、それを楽しんでいるという感じが、このアルバムにはよく表われていると思う。音楽性とか自分のプレイ等ということを言う前に、モブレーは他のプレイヤーが気持ちよく演奏するのに気を配り、それが演奏を楽しいものにし、そのなかで自身も楽しんでプレイしている様が伝わってくるようだ。ソロとして自己主張するには性格が良すぎるとか、地味とかいろいろ後で言われることになるけれど、ここではそういう雑音が入って来ないで、モブレーの一歩引いたような姿勢がみんなを盛り上げ、結果的によい演奏となった幸せな時が記録されている、と思う。

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